7割の人に「払い過ぎた相続税」が戻ってくる可能性が!?

本連載では相続税を専門に扱う佐藤和基税理士が、相続税に関わる基本的な知識や実務経験に基づいた相続対策のノウハウを紹介します。

なぜ「相続税の払い過ぎ」が多く発生しているのか?

平成27年1月1日から相続税改正により増税となったため、相続税対策をしている方は増えてきています。一方で、相続税を払い過ぎているケースは多く、また払い過ぎた相続税は戻ってくる、という話はあまり知られていません。

 

「うちはきちんと税理士に依頼しているから大丈夫です!」

 

そのようなことを聞く機会も多いのですが、相続税に慣れている税理士はごくわずかということもまた、あまり知られていないのではないでしょうか。

 

たとえば医者であれば内科、外科、眼科、耳鼻科などの専門があるように税理士にも得意不得意があります。一般的な税理士は会社の顧問や個人の確定申告を専門にすることが多く、法人税、所得税、消費税には精通していますが、相続税を専門にする税理士は限られています。

 

また税理士が相続税に慣れていない原因としては、単純に実務経験を得る機会が少ないからといえます。たとえば平成27年の死亡者数は1,290,444人ですが、このうち相続税がかかった方は103,043件であり、相続税のかかる方の割合は8%となっています。それに対して平成28年3月時点の税理士の数は75,643人であるため、単純計算として税理士1人あたりの年間の相続税申告件数は平均でわずか1.36件となっています。ちなみに平成26年以前は、税理士1人あたりの年間の相続税申告件数の平均は約0.7件でした。この数値からも税理士が相続税に慣れる機会が少ないことがわかります。

 

相続税申告の際、税理士によって特に差が出てくるのが「土地の評価」です。

 

相続税に慣れていない税理士は普段、土地の評価に接することがほとんどありません。土地評価の際に現地調査、役所調査を実施していないため、最大限の評価減をしていない場合が多く、税理士によって数百万から数千万の差が出ることが多々あり、場合によっては億単位の差が出てくることもあるのです。

 

このように相続税に不慣れな税理士により申告された相続税を、再度見直し修正申告することで税金は戻ってきます。相続税の見直しをする際には、まず机上で減額の可能性を検討し、必要に応じて現地調査、役所調査を実施し土地の利用制限、公法上の制限等の有無を確認し、実務上是認されている最大限の評価減要素を探して相続税を減額します。

税理士に「相続税申告書・添付資料一式」を預けるだけ

相続税還付(相続税を取り戻すこと)の対象となる人は、亡くなってから5年10ヵ月以内に相続税を納めた相続人となります。実際に還付される可能性のある人(減額要素のある方)は相続税を申告した方の7割ほどですが、特に不動産を所有している人は確率が高くなります。

 

しかし相続税が還付される可能性があっても申請をためらう人がいます。そこで、そのような方たちの不安や疑念に沿って、還付申請の進め方を解説します。

 

不安① 顧問税理士に知られたくない

 

よくある質問として「今の税理士とは長い付き合いだから相続税還付の依頼をしたことがばれたくない」というものがあります。しかし最初に相続税申告をお願いした税理士に、相続税還付の申請を知られることはありません。

 

相続税還付の手続きでは「更正の請求書」という書類を税務署に提出します。その際に「税務代理権限証書」という委任状を添付することになります。そのため、税務署からの通知も当初の税理士ではなく、新たに「税務代理権限証書」を添付した税理士に連絡が来ます。つまり、相続人が自分からいわない限り当初の税理士に知られることはありません。

 

しかし下記の点について注意する必要があります。

 

●還付を受ける口座を顧問税理士に見せていない銀行にする(すべての口座を顧問税理士に見せている場合には、還付を受けるためだけの口座を新規に開設する)

 

●税務署から届く更正通知書と国税還付金振込通知書を顧問税理士にみせないようにする。

 

●相続税の取得費加算の特例を適用している場合には、相続税還付をした税理士に所得税の修正申告まで依頼する

 

不安② 手続きが面倒くさそう

 

相続税が還付される可能性があっても「面倒…」と申請をためらう人もいます。通常の相続手続きは、財産の内容を調査して預貯金の残高証明書を入手し、戸籍謄本、印鑑証明書を入手して、相続人全員で分割協議をして…と、とても大変な思いをしている人が多く、「相続=面倒」という印象を持たれているのでしょう。

 

しかし、相続税還付では還付専門の税理士に「相続税申告書・添付資料一式」を預けるだけです。実は簡単過ぎるほどに簡単なのです。資料を預けるだけで、あとは還付専門の税理士が勝手に頑張って減額要素を探してくれます。

 

不安③ 相続人全員の同意が得られない

 

相続人が複数いる場合でも、相続税還付は相続人1人で請求することもできます。相続税は各相続人が各々納めていますし、還付請求をする際も各々が請求をすることになります。還付を受ける話なので、できれば相続人全員で手続きをすることをおすすめしますが、もめている場合などには、1人で還付請求することを検討してみてはいかがでしょうか。とりあえず1人で還付請求をしてみて、実際に還付に成功してから教えてあげるのもよいでしょう。

 

不安④ 税務調査が入った後なので意味がない

 

税務調査は追徴課税を狙ってくるため、納税者が有利になるような減額要素はほとんど指摘してもらえません。減額要素を見つけるためには土地の現地調査や役所調査をして手間暇をかけることになるため、税務署もそこまでは手が回らずに減額要素に気付いていないのが一般的です。

 

また、すでに税務調査が終っているということは、これ以上増額になることはないといえます。つまりまったくリスクがないため、相続税の見直しをする上ではこれ以上還付の申請がしやすいことはないというのが実情です。税務調査が終っている方こそチャンスなのです。

 

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佐藤和基税理士事務所 代表 一般社団法人 相続財産再鑑定協会 代表理事

昭和59年生まれ。平成19年1月に相続税専門最大手の税理士法人レガシィに入社し、主に相続税を専門に扱う業務に携わる。平成22年に相続税以外の一般的な税務を学ぶため、税理士法人ワイズコンサルティングに転職。平成26年1月に独立開業した。以降、最も得意とする相続税の専門家として特に「相続税還付」に力を入れている。相続税還付のポイントとなる土地の評価では500件以上の評価実績がある。「相続税還付」は週に1件ほどのペースで依頼を受けているが、「相続税還付」をさらに世の中に広めていくため、平成27年1月に、一般社団法人相続財産再鑑定協会を設立した。
■佐藤和基税理士事務所⇒https://souzoku-satou.com/

著者紹介

連載相続税専門税理士が教える「相続の基本」

  • 【第1回】 7割の人に「払い過ぎた相続税」が戻ってくる可能性が!?

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