才能ではない!難解な「数学」の問題が解けるようになる方法

本記事は、難解な数学問題が解けるようになるメンタルセットについて、見ていきます。※本記事は、東京大学薬学部卒業で、現在は作家、心理カウンセラー、イラストレーターとして活躍する杉山奈津子氏の著書、『偏差値29からなぜ東大に合格できたのか』の内容の中から一部を抜粋し、子どもの能力を最大限に引き出す親の役割と、短期間で劇的に偏差値を上げる学習法を公開します。

「数学は才能」は先入観!?

「歴史や生物は暗記が多いので覚えればどうにかなるけれど、数学は考えなくてはいけない。だから、才能がないと難しい」と言う人が、依然として多く存在します。ただそれも先入観によるもので、私は数学も暗記科目だと捉えています。解き方を暗記するという方法で、ほとんどの問題は解けるからです。

 

入試では大抵どこかで見たような類似問題が出されます。ですから、覚えた解法を使い、多少応用を加えるだけでほとんどの大学は突破できます。

 

東大の数学のようにまったく見たことのない問題が出題される場合は、様々な解き方を試みる必要がありますが、それも結局、Aという解き方で少し進んだら次はB、Bの解き方で少し進んだら次はCと、覚えた解法をいくつも組み合わせてひとつずつ解き進んでいく、という作業に終着します。

 

前回お話した(関連記事『「才能は生まれつきのもの」という言葉のウラを暴く』参照)エスカランテ先生が生徒たちに教えた教科が「数学」であったという点は、「数学は才能だ」と断固として信じる人たちにとっては刮目すべき事実です。彼は、小学生レベルの学力しかなかった学生を、全米トップレベルまで引き上げました。それも、特別な才能をもった生徒ひとりではなく、学校中の落ちこぼれの生徒たち全員を、です。

「向き合う態度」で難問は解ける!?

また、数学教育学を学ぶ人なら誰もが知っている、アラン・シェーンフェルド教授という数学者がいます。大学の授業で彼はまず、生徒たちが入学する以前に身につけた「数学に取り組むときの習慣」をすべて捨てさせるそうです。そして、自分自身が解けない問題を「2週間考えてきなさい」と言って宿題にします。もしわからなくても、2週間毎日考えるようにと注文をつけます。

 

「数学は能力ではなく、向き合う態度で決まる」というのが彼の信条なのだそうです。数学を「能力がなければ解けない」「ひらめきが大事」というメンタルセットで取り組んでいたら、難しい問題にあたったとき「この問題は自分には無理だ」と諦めてしまい、そこが限界となります。

 

シェーンフェルド教授は、問題を解くためには粘り強き、忍耐が必要だと主張しています。実際、彼の出す宿題を2週間毎日繰り返すことにより、生徒たちの数学の能力はかなりアップするそうです。

 

東大入試の数学でも、理系は2時間半も与えられるのに出題されるのはたったの6問。それでも全部解くには時間が足りないという点では、シェーンフェルド教授の「忍耐力をつける」教育方針と似ていると言えます。

 

東大の数学対策として、私は「新数学スタンダード演習』という見たことがない問題ばかりが載っている本を使い、時間がかかってもいいので1日3問解くように勉強していました。たった3問ですが、2時間以上かかることもザラで、わからなくてもひたすらどうやって解くかを考えました。

 

こうしてとことん思索し続けたおかげで、私は東大入試の数学が解けるようになったのです。

辛抱強く問題に向き合えるかどうかが、勝負の分かれ道

解けない問題に様々な角度からアプローチし、試行錯誤して答えを探す数学は「失敗を繰り返す」ため、挑戦を恐れないメンタルセットに加えて我慢強さが必要です。

 

解法を色々試す過程では、せっかく長い時間をかけて解いていた式でも「これだと答えが出ない」と気づいたら途中できっぱりやめ、方向性を変えてまた最初からやり直さなければなりません。

 

『新数学スタンダード演習』をやっているときも、「今までの面倒くさい計算が水の泡だ」と投げ出したくなることが山のようにありました。かといって、解答を見てしまったら、それこそ今まで向き合っていた時間が無駄になってしまうので、一息ついてからコツコツと別の方法でアプローチし続けました。

 

「すべての道はローマに通ず」という言葉がありますが、数学は、ローマに向かって道を歩いていくようなものです。ただし歩いている途中、穴があったり壁があったり工事中で進めない道があるので、そうしたら最初、あるいはひとつ前の道まで戻り、別の道を探すのです。

 

見つけやすい大通りを通ってすんなりゴールできる場合もあれば、細い裏通りを何度も曲がり、迷子になりかけてゴールする場合もあります。この細い道を見つけるまで辛抱強く問題に向き合えるかどうかが、解けるか解けないかの違いを生みます。

 

数学を解くときに必要なのは、ハッとひらめいて新しい道をつくり出す創造の才能ではなく、時間をかけ迷いながらも、確実に存在する道を見つけられる忍耐力なのです。私の中学・高校時代を思い返すと、毎年先生は替わるというのに、数学の授業内容はほとんど同じ単調なものでした。

 

まず、先生が教科書から問題を出し、「わかった人は手を挙げて」と言います。最初に手を挙げて指された人が黒板に数式と答えを書き、先生が正誤を判定してから解説となります。たとえ私がその解説を理解できなくても授業はどんどん進み、さらに黒板の式をノートに写していると解説が頭に入らなくなるため、だんだん何が何だかわからなくなり、 最終的には「授業を向いていても意味がない」と投げ出していました。

「オタク」属性の人々は粘り強い!?

問題が解けるまで向き合う時間も、理解するための時間もなく、数学をどんどん嫌いになるしかなかったのも当然だと思います。数学は、「正しいか間違いか」とか「速く解けるか」なんてことばかり重要視されるから、みんなどんどん拒絶するようになってしまうのです。

 

本当は「根気よく努力すれば結果が得られる」と実感することが、数学で身につけるべき最も大切なことなのです。

 

シェーンフェルド教授は「忍耐があればみんながすぐ投げ出してしまうことに何十分もかけて取り組める」とし、それがすべてにおいての成功の秘訣だと言いました。忍耐が必要なのは数学だけでなく、国語や英語もそうですし、勉強以外のほとんどのことにも当てはまります。そして、ひとつの分野で根気強く頑張る姿勢を学べば、必ず他の分野にもつながっていきます。

 

何かを熱心に取り組んでいる人は、大抵他のことをやっても頑張れます。比較文化心理学者のプリシラ・プリンコによる調査で、小学1年生を対象に難しいパズルをやらせたところ、アジア人はアメリカ人よりも長時間、粘り強く挑戦する国民性をもっていることがわかりました。

 

日本ではアニメや漫画、アイドルなどに熱中する人たちが大勢いて、そういう人たちを「オタク」などと呼びますが(私もオタクですが)、そうした「ひとつのことを掘り下げて しつこいくらい追求する」ことは、まさしく粘り強さかもしれません。

 

数学を得意とする理系には「オタク」が多いイメージがあります。それこそ「数学は才能ではなく粘り強さ」であるのを裏づけているのではないでしょうか。

 

 

杉山 奈津子

作家、イラストレーター

 

静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業。作家、イラストレーター。心理カウンセラー。大学卒業後は、執筆活動や講演活動を積極的に行っている。著書に『鬱姫 なっちゃんの闘鬱記』(講談社)、『「うつ」と上手につきあう本』(大和出版)、『偏差値29からの東大合格』(中央公論社)、『偏差値29の私が東大に合格した超独学勉強法』(KADOKAWA)などがある。

著者紹介

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