実践的基礎知識 リスク編(2)<投資には期間定義が重要>

ピクテ投信投資顧問株式会社が、実践的な投資の基礎知識を初心者にもわかりやすく解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するコラムを転載したものです。

投資には期間定義が重要

私たちは日々の新聞やテレビのニュースなどで、多くのマーケット情報を入手することが出来ます。その中で足元の経済状態が良いと、今後も良いのではと思いがちです。しかし投資を考える上で重要なのは、こうした短期的な情報ではなく、中長期的な展望かもしれません。

短期間の情報は余り意味が無い!?

私たちがよく目にするマーケットの解説は、多くの場合、過去の短い期間の振返りと今後数ヵ月の短期的な見通しで語られています。では実際に、マーケットが良さそうだと考える市場に投資した場合、5年後に利益は出せるのでしょうか。図表1のように、過去2ヵ月は、金利は上昇し、為替レートも上昇、格付けも安定していて経済も良好という市場があったとしましょう。この様に足元の状況が良いと考えるマーケットに投資したら、利益が出るのではと考えがちです。それでは、もう少し具体的に確認していきましょう。

 

[図表1]過去2ヵ月間の市場環境と今後2ヵ月の市場見通しのイメージ

 

図表2の様に、$1=100円の時、利回り6%の$100の債券を購入したとします。円換算の資産合計は10,000円です。2ヵ月後、経済は好調だったのに予想に反して為替レートは10%下落し、この時の円換算の評価額は9,090円となりました。よくあるパターンです。この様に債券の利息があまり積み上がらない短期間に、為替レートが少しでも円高に振れてしまったら、円換算の資産合計で損失が出てしまいます。ところが5年後、10%の円高となったままであっても円換算の資産合計は11,700円と投資金額の10,000円を超えています。これは、利息収入が積み上がることで、為替変動の影響を抑えてくれる効果があるからです。

 

[図表2]利回り6%の$100債券を購入した場合の例

 

このように、投資先資産が持つお金を増やす力(この場合は債券利息)を積み上げて、時間をかけ、たとえ為替でマイナスになっても、お金を増やしていくのが投資です。何も積み上がらない短期間の価格変動を利用した売買をくり返してお金を増やそうとするのは投機です。大事なことは短期間の情報よりも、長期的に考えることです。つまり今後5年間、どういう経済状態であると考えるのか。それを前提にして考えると、どのような投資が有効で、その結果どのようなリターンが期待できるのか。以上のような事を前提に考えて投資を行っていけば、日々の不安になるニュースも短期的なマーケットの変動も雑音の一種となるのではないでしょうか。

 

これは長期的な気候と短期の天気との違いと似ています。図表3で、今後5年間暖かい場所で生活しようと考えるなら、多くの方は大阪より那覇に住むべきだと考えます。

 

 

2ヵ月前の大阪の気温が28.9℃、那覇の気温が28.3℃と大阪の方が那覇の気温よりも高くても、2ヵ月後は大阪8.1℃、那覇18.6℃と那覇の方が高くなっています。2ヵ月前により暖かった場所が2ヵ月後もより暖かいとは限りません。では、今後5年間暖かいところで暮らすには、どの様な情報が必要でしょうか。2ヵ月前の平均気温や2ヵ月後の予想気温ではなく、長期間の平均気温の情報が必要です。過去約30年の大阪の平均気温は16.9℃、那覇は23.1℃でした。この情報を知っていたら、今後暖かい場所で暮らすなら那覇に住むべきだとわかるでしょう。たとえ引越してしばらく肌寒い日が続いても、那覇に住み続けるべきだと理解できます。この長期間の平均気温のような情報が、長期的な投資に必要な情報です。様々な情報の中から、どれが長期的な投資に必要な情報なのかを選別することが重要です。

 

[図表3]大阪と那覇の平均気温

出所:気象庁のデーターを使用しピクテ投信投資顧問作成
出所:気象庁のデーターを使用しピクテ投信投資顧問作成

リスクをとる時は、負ける前提で考えてみる

リスクをとるということは、好ましい結果になるか好ましくない結果になるかが分からないということです。投資を考える場合には、好ましい結果になることに賭けるのではなく、好ましくない結果が出たとしてもプラスのリターンを確保できるような投資を行うという意識が大切です。例えば、為替リスクをとるなら、為替の上下動の影響を受けます。ならば、為替で勝つことに賭けるのではなく、為替で負ける前提で割に合う投資か考えてみると良いでしょう。

 

図表4の豪ドル建て債券投資の場合、スタートから2ヵ月しか経っていない状態では、1%の利回りの債券を買っても6%の利回りの債券を買っても、利息収入は2ヵ月分のみなのであまり差はつきません。その為、損益は為替の値動きでほぼ決まってしまいます。

 

一方、5年後になると1%の利回りの債券であれば、利息がほとんど積み上がらず、相変わらず為替の上下動次第で円換算の資産合計は決まります。しかし6%の債券の場合は、たとえ為替レートが90円、80円まで円高になったとしても円換算の資産合計はプラスになります。

 

為替リスクをとって海外の債券に投資するなら、たとえ為替で負けても全体がプラスになるような利回りの債券に投資するのが基本です。円安になることに賭けるのと、たとえ為替が円高になってもプラスになるものに投資をするのでは、将来の投資成果において大きな違いが出てきます。

中長期的に投資をするなら、短期の情報や値動きに惑わされず中長期の目線で考えることが大切です。

 

[図表4]豪ドル建て債券投資の場合のイメージ

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『実践的基礎知識 リスク編(2)<投資には期間定義が重要>  』を参照)。

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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