仮想通貨関連の広告を掲載禁止したFacebookだが…
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仮想通貨は、世界的には「Crypto currency(暗号通貨)」と呼ばれ、あくまで通貨としてのイメージが強いブロックチェーンプロダクトですが、通貨以外の用途にも注目が集まっています。今回は、その一例として「広告業界とブロックチェーンの可能性」について考えたいと思います。
2018年1月、Facebookが仮想通貨に関する広告を全面的に掲載禁止とし、仮想通貨業界に衝撃が走りました。当時は、価格高騰の熱気さめやらぬなかでコインチェック事件が発生しており、追い討ちをかけるようにこのニュースが流れました。約半年後の同年6月には、バイナリーオプションやICOなどを除き、今まで通り広告が配信できるように規制が緩和されました。
もともと意思決定の早いFacebookとはいえ、非常に迅速な判断といえます。その背景には、仮想通貨関連の広告売り上げが急速に伸びていたこともありますが、ブロックチェーンへの注目を発表していたマーク・ザッカーバーグCEOの仮想通貨業界への期待も伺えます。
また2018年3月、ネット広告の王者Googleも、Facebookのあとを追うように規制を発表しました。同年6月に施行したものの、3ヵ月後の9月には条件つきの規制緩和を発表しています。配信先の国ごとにGoogleの事前承認を受けると、一部の広告の掲載が認められるという内容で、詳細は広告ポリシーに記載されています。
ブロックチェーン活用が期待されるターゲティング広告
Facebookも研究チームの発足を発表し、注目されているブロックチェーンの広告活用ですが、どのようなケースが考えられるでしょうか。現在、用途として最も注目されている領域は、ターゲティング広告といわれている領域です。ターゲティング広告には、主に2つの手法があります。
1つはオーディエンスターゲティングで、さまざまなサービスに登録する際にユーザーが記入した性別、生年月日、趣味嗜好等をもとに、それぞれのユーザーにあった最適な広告を配信するというものです。もう1つはリターゲティングで、一度訪問したサイトの情報をもとに、ユーザーが興味を持った商品などを再掲示するものです。
これらのターゲティングは、ユーザーが不要な広告を見る頻度を下げ、興味のあるものだけ目に触れるように最適化できる技術として注目されていました。しかしながら、実際のターゲティング精度は低く、ユーザーが不要な広告を目にする機会も多いです。
この主な原因は、必要なデータが網羅的に貯まらない構造にあります。現在、このようなデータは各企業ごとに分散しており、Tポイントカードなどの一部事例を除き、企業間で共有されることはほとんどありません。消費者側の特定されたくないという心理と、企業側の個人情報を慎重に扱いたいという姿勢が重なり、今のところブラックボックス化されたままになっているからです。
実際、現在の管理方法のままデータを企業間で共有すると、必ず情報漏えいや不正利用につながることでしょう。そこでブロックチェーンを活用し、技術的に匿名性が担保された状態で企業間で情報を共有できないか注目が集まっています。情報化が進む現代において、向こう20年程度は、蓄積されるデータが増えることはあっても減ることはないでしょう。
現在、ユーザーは受けるサービスの質をあげるために、個人情報をオンライン上にアップロードすることが求められます。その結果として、よりよいサービスが体験できるというトレードオフ状態になっているのです。
たとえばApple Watchであれば、心拍数、位置情報、財布事情等をオンライン上で共有することで、ヘルスケアや資産管理などさまざまなサービスを受けることができます。ここまでならまだいいですが、将来的にはあなたの思考を予測する技術が必ず出てきます。となると、ハッキングされる可能性を持ったオンラインに常時接続するなんてゾッとしませんか?
対策には匿名化技術が求められ、中央管理をしないブロックチェーンが最適策なのではないかと考えています。投資対象としては、大手の買収可能性のある技術を持ったプロジェクトがよいかもしれません。後発でプラットフォームを目指すようなプロジェクトは、ITの巨人が台頭している現代においては、投資対象として難易度が高すぎるのではないでしょうか。