「宅地造成等規制法」の成り立ちとは?
<高度利用地区>
高度利用地区とは、用途地域内の市街地における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るため、容積率の最高限度および最低限度、建蔽率の最高限度、建築面積の最低限度、壁面の位置の制限を定める地区である。当該地区では、「再開発」をすることが多い。再開発とは、ゴミゴミした低層住宅が密集している地区を取り壊し、高層建築物を建て(高度利用)、道路を広げて公園を造る(都市機能の更新)ことである。これによって、快適性・防災性をも高めることができる。写真1は、JR吹田駅北口地区第一種市街地再開発事業により造られた街の風景で、1990年に都市計画が決定され、1996年に工事が完了した。この辺りは高度利用地区に指定されていて、面積が約18,000㎡である。
[写真1]
<宅地造成工事規制区域>
宅地造成等規制法は、1961年に制定されたが、六甲山が原因だと言われている。六甲山は日本一、崖くずれまたは土砂の流出の多い山とされていて、それを防止するためであった。そこで、都道府県知事等が、宅地造成に伴い災害が生ずるおそれが大きい市街地または市街地となろうとする土地の区域であって、宅地造成に関する工事について規制を行う必要があるものを宅地造成工事規制区域に指定する。指定するときは、前頁のように公示をする。宅地造成工事をするには、あらかじめ許可が必要である。勝手にすると、土砂災害の原因となるからである。街を歩いていて標識・立て札を見つけたらチェックし、興味深いものは写真を撮る(撮影禁止の場所は除く)ことが、不動産学を深めるコツであ
る。
[写真2]
<タワーマンション>
ここ数年、節税目的でタワーマンションを買う人が目立った。従来より、価格の高い上層階は、実際の価格より低めの評価となり、上層階を買うほうが固定資産税が割安であるし、相続税の負担が軽くなっていた。今後はより公平に課税されることになっている。住宅の取得を節税目的や金儲け目的で意思決定することは、発想が間違っている気がする。住宅の取得はある意味では結婚と同じで、「この家と一生を共にしたい!」と惚れ込むことであり、そういう家に出会うことで住む人が幸せになり健康になるものである。私も、海の近くのタワーマンション(写真3)に住み始めてから、運気が上昇したし、持病の喘息(ぜんそく)が全快した。
[写真3]
「三角形の鉄」を組み合わせたトラス構造
<伝統的建造物群保存地区>
文化財保護法によると、周辺の環境と一体をなして歴史的風致を形成している建造物群で価値の高いもので、代表例は、京都の町家と呼ばれる家屋や神戸の異人館である(写真4は、風見鶏の館)。1881年、大阪造船所(現日立造船)を創設したエドワード・ハンターが北野町に住み始めると、居留地に住むエトランゼたちも移住し、現在約30軒が残っている。神戸市は一帯を伝統的建造物群保存地区に指定し、1977年には、さびれた神戸の復活を期して、NHKとの提携で「風見鶏」が放映された。「ミーハー的な観光化で市の活力を戻せるわけがない」等の批判の中、風見鶏がブレイクした。月間4万人だった異人館通りの観光客が、放映開始3カ月後、12万人に伸びたのである。
[写真4]
<トラス構造>
「タワー博士」の異名を持つ内藤多仲が設計した東京タワー。1958年に高さ333
メートルの、当時としては世界一高い自立式鉄塔が建設された。写真5のように、「三角形の鉄」を組み合わせたトラス構造で造られている。トラス構造は、タワー・鉄橋・建築物等に活用されている。これは、なるべく少ない鉄の量で地震・風・雪等の外力に対して強くなるからである。もちろん、見た目も美しい。鉄骨の合間から見える青い空・日没直後の群青色の空の色(夜景学という学問では、「ブルーモーメント」という)が絶景である。鉄骨の形成については、トラス以外にラーメン構造(柱とはりを組み合わせた直方体)・アーチ構造(曲線上のもの)の形式がある。
[写真5]