世界の「太陽光発電導入量」は綺麗な右肩上がり
ここ最近、再生可能エネルギーの現状把握、将来予測のために重要な各種統計データ、レポートが続々と発表された。
6月21日、Renewable Energy Policy Network for the 21st Century(REN21)が世界の再生可能エネルギー導入動向に関するレポート『RENEWABLES 2017 GROBAL STATUS REPORT』を刊行した。
本レポートによると、2016年の世界の再生可能エネルギー新規導入量は、過去最大となる161GWを記録し、累積導入量は2,017GW(うち、水力発電を除く再生可能エネルギーは921GW)。太陽光発電は新規導入量75GWで、累積導入量は303GWとなった。
[図表1]世界の太陽光発電導入量 2006〜2016
また、Bloomberg New Energy Finance(BNEF)は6月17日に『New Energy Outlook 2017』を刊行し、2040年までに世界で新設される発電設備投資総額の72%は再生可能エネルギーが占め、その内の34%は太陽光発電設備になるとの予測を発表した。
太陽光発電の均等化発電原価(LCOE)は、2040年までに66%下落するとしており、2021年までには中国、インド、メキシコ、イギリス、ブラジルで石炭火力発電より安価なエネルギーになると見通している。
アメリカ・トランプ大統領のパリ条約離脱宣言により、世界規模で進められている地球温暖化対策に遅れが生じる懸念も囁かれているが、もはやクリーンエネルギーへの転換は経済的合理性という観点からも、確実に進展していくと考えられる。
新たなエネルギー供給システム構築の議論が進む日本
一方、日本でも更なる再生可能エネルギーの普及拡大に向け、5月25日より『再生可能エネルギーの大量導入時代における政策課題に関する研究会』が開催され、再生可能エネルギーを基幹エネルギーとして利用するための新たなエネルギー供給システムの構築に向けた本格的な議論が始まっている。
国内の長期展望については、一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)も『JPEA PV OUTLOOK ~太陽光発電2050年の黎明~』を発表し、2050年200GW導入のビジョンを示しており、再生可能エネルギーのポジショニングは大きな転換点を迎えている。
[図表2]2050年にいたる累積稼動見通し
今後、再生可能エネルギーを基幹エネルギーの1つとして根付かせていくためには、これまでの政策主導の普及拡大期から脱し、産業化(本格的な市場形成)を早期に実現させなければならない。
ここ数年、太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーの大量導入が社会的な注目を浴びているが、それでさえも、まだまだ再生可能エネルギー産業の「黎明期」に過ぎないことを忘れてはならない。