(※写真はイメージです/PIXTA)

定年後は収入が限られるため、毎月の生活費に加え、税金や保険料などの支出にも注意が必要です。特に不動産を所有している場合は、住んでいない家や利用していない土地にも税金がかかることがあります。親から実家を相続したものの、その後の管理や費用について十分に把握しておらず、思いがけない通知を受け取る人もいるようです。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

「誰も住んでいない家なのに」70歳男性に届いた納税通知書

「もう誰も住んでいない家ですから、税金まで払う必要があるとは思っていなかったんです」

 

そう話すのは、70歳の正雄さん(仮名)です。

 

正雄さんは65歳まで会社員として働き、現在は妻の和子さん(68歳・仮名)と2人暮らし。公的年金は月約17万円で、妻も自身の年金を受け取っています。

 

夫婦は住宅ローンを完済したマンションに住み、日々の生活費は年金収入を中心に賄っていました。

 

そんな正雄さんのもとに、ある年の5月、市役所から一通の封筒が届きました。中に入っていたのは、固定資産税・都市計画税の納税通知書です。

 

「最初は、今住んでいるマンションの税金だと思ったんです。でも、書類を見たら実家の住所が書いてあって……」

 

通知された税額は、年間約7万2,000円。正雄さんは思わず、もう一度書類を確認したそうです。

 

「実家には誰も住んでいないのに、どうしてこんなに払わなきゃいけないんだろうと思いました」

 

正雄さんの父親は前年の11月、96歳で亡くなりました。母親はそれ以前に他界しており、正雄さんは一人息子です。

 

実家は築45年ほどの一戸建てで、正雄さんの自宅から車で1時間半ほどの場所にあります。父親は亡くなる直前まで自宅で暮らしていましたが、正雄さん自身が住む予定はありませんでした。

 

「父が亡くなった後、家の中を少し片づけたんですが、家具も荷物もまだたくさん残っています。売るかどうかも決められず、そのままにしていたんです」

 

正雄さんは父親の預貯金などの手続きを進める一方、実家の相続登記については司法書士に相談し、年明けに自分名義への変更を済ませていました。

 

ただ、固定資産税については、ほとんど意識していなかったといいます。

 

「父が住んでいたときは、父が払っていたんでしょうね。私は自分のマンションの税金しか考えていませんでした」

 

通知書を見た和子さんも、驚いた様子でした。

 

「この家の税金も払っているのに、使っていない実家の分まで必要なの?」

 

正雄さんは詳しい事情を確かめるため、市役所の資産税担当窓口に電話をかけました。そこで説明されたのは、本人が知らなかった固定資産税の仕組みでした。

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