「持っているだけで?」役所で知った実家の維持費
固定資産税は、原則として毎年1月1日時点の土地や家屋の所有者などに課される税金です。
正雄さんの場合、前年11月に父親が亡くなり、相続によって実家を取得していたため、翌年分の納税義務が生じていました。
「人が住んでいるかどうかではなく、土地や建物を所有していることで税金がかかると説明されました。考えてみれば当然なのかもしれませんが、知りませんでした」
なお、相続登記が終わっていない場合でも、亡くなった所有者に代わり、相続人などが固定資産税の納税義務を負うことがあります。
正雄さんがさらに気になったのは、税金以外の維持費でした。
実家では電気と水道を最低限使える状態にしており、基本料金が発生しています。庭木の手入れも必要で、前年には業者に草刈りを頼み、約3万円を支払っていました。
火災保険料なども含めると、実家を維持するための支出は年間15万円前後になる見込みです。
「年金は月17万円ですから、15万円といえば、ほぼ1ヵ月分です。何もしない家にこれだけお金がかかるとは思いませんでした」
総務省『令和5年住宅・土地統計調査』によると、2023年の全国の空き家数は約900万戸、空き家率は13.8%でした。そのうち、賃貸・売却用や別荘などを除く空き家は約385万戸に上ります。
正雄さんのように、親が亡くなった後の実家をすぐに活用できず、維持費を負担し続けるケースも考えられます。
「父が暮らしていた家なので、簡単に手放す気持ちにはなれません。でも、これから何年も管理できるかと聞かれると、自信がないですね」
正雄さんは、実家の売却について地元の不動産会社に相談することにしました。
しかし築年数が古く、駅からも離れているため、希望する価格で売れるとは限らないとのことでした。
建物を解体して土地だけにする方法もありますが、解体費用がかかるうえ、住宅用地に適用される固定資産税の特例が外れ、土地の税額が上がる可能性もあります。
「壊せばいいという話でもないんですね」
その後夫婦で話し合い、まずは家財の整理を進めながら、建物を残した状態での売却を検討することに。税金や管理費についても、年間の支出として家計に組み込むようにしました。
「持っている限り、管理する責任があるんですね」
正雄さんはそう振り返ります。
親から不動産を相続した場合、住む予定がなくても、固定資産税や維持管理費が発生することがあります。相続の手続きを進める段階で、年間の負担額や今後の活用方法を確認し、売却や管理の方針を早めに検討しておくことが重要でしょう。
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