(※写真はイメージです/PIXTA)

秋を迎え、冬の暖房費を気にし始める家庭もあるでしょう。特に寒さの厳しい地域では、灯油代が冬場の家計に大きく影響します。収入が限られる年金生活では、光熱費の増加に備えて、早めに生活費を調整する人もいます。しかし、離れて暮らす家族には、そうした日々のやりくりがなかなか見えないこともあるようです。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

「灯油代を残しておかないと」77歳父が秋から食費を削る理由

「冬の灯油代を今から取っておかないといけないので、最近は買い物も控えているんですよ」

 

そう話すのは、東北地方で一人暮らしをする77歳の正雄さん(仮名)です。

 

正雄さんは長年、地元の製造会社に勤め、65歳で退職しました。現在は月約13万円の公的年金を受け取っています。

 

妻とは10年前に死別。住宅ローンを完済した築40年ほどの一戸建てに住み、普段は自炊をしながら暮らしています。

 

「家賃がないので何とか生活できていますが、冬はどうしてもお金がかかるんです。雪が降ると、暖房を使わないわけにもいきませんから」

 

正雄さんの自宅では、居間の石油ファンヒーターと台所の石油ストーブを主に使用しています。

 

冬場は灯油代だけで月1万5,000円から2万円ほど。寒さが長引けば、暖房を使う期間も延びます。そのため、毎年秋になると、灯油代を確保するために少しずつお金を取り分けているそうです。

 

そんな父親の暮らしぶりを知ったのは、首都圏に住む長女の美紀さん(49歳・仮名)でした。

 

美紀さんは夫と高校生の息子との3人暮らし。実家には年に2、3回帰省しています。

 

ある日、父親と電話で話していると、正雄さんが「最近はスーパーにもあまり行かない」と口にしたそうです。

 

「何かあったの? 買い物に行くのが大変になった?」

 

美紀さんが尋ねると、正雄さんは笑いながら答えました。

 

「いや、まだ買い物くらいできるよ。ただ、灯油代を今から取っておかないと。余計なものは買わないようにしてるんだ」

 

詳しく聞くと、正雄さんは9月に入ってから食費を減らし、外食も控えるようになっていました。

 

以前は週に一度、近所の食堂で定食を食べるのが楽しみでしたが、最近はほとんど行っていないといいます。

 

「食堂も値上がりしていてね。1回千円近くするなら、家で食べたほうがいいでしょう」

 

美紀さんは、父親が節約を心がけていることは知っていました。しかし、冬の暖房費のために、秋から好きな外食まで我慢しているとは思っていなかったそうです。

 

「年金は毎月入っているし、家のローンもないので、普通に暮らせていると思っていました」

 

気になった美紀さんは、次の週末に実家を訪ねることにしました。

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