(※写真はイメージです/PIXTA)

退職後は、現役時代には難しかった長期旅行や趣味を楽しみたいと考える人もいるでしょう。まとまった貯蓄があれば、元気なうちに使おうという判断にも十分な理由があります。ただ、給与収入がなくなった後は、旅行などの特別な支出に加え、毎月の生活費も預貯金から補う場合があります。資産の減り方を具体的に把握しないまま支出を続けると、当初の計画とのずれが大きくなることもあります。

「7,000万円もあるんだから」退職後6年間で続けた海外旅行

「元気なうちに使おうって、2人で決めたんです。後悔するような使い方をしたつもりはないんですけどね」

 

そう話すのは、66歳の隆夫さん(仮名)です。

 

妻の由美子さん(66歳・仮名)と2人暮らし。隆夫さんは大手メーカーに長年勤務し、60歳で定年退職しました。由美子さんも同じ年に勤め先を退職しています。

 

夫婦には独立した子どもが2人おり、住宅ローンは完済済み。退職金を含め、退職時の預貯金は約7,000万円ありました。

 

「仕事をしているころは、まとまった休みが取れなくて。海外旅行は退職してからのお楽しみでした」

 

最初に訪れたのはヨーロッパ。夫婦でビジネスクラスを利用し、ホテルも立地や快適さを重視して選びました。

 

交通費や宿泊費、食事代などを合わせて約280万円。決して安くはありませんでしたが、隆夫さんは「これまで頑張ってきたご褒美だ」と考えたそうです。

 

翌年はカナダ、その次はイタリアへ。長距離移動の負担を減らすため、航空券にはお金をかけました。

 

「せっかく行くなら、我慢したくないよね」

 

由美子さんの言葉に、隆夫さんも賛成しました。

 

こうして夫婦は、毎年約300万円を海外旅行に使う生活を6年間続けます。

 

旅行費の合計は約1,800万円。退職時の7,000万円から差し引いても、単純計算では5,200万円残るはずでした。

 

ところが、66歳になったある日、隆夫さんが通帳や定期預金の残高を確認すると、夫婦の預貯金は約3,800万円になっていたのです。

 

「えっ、こんなに減ってたのか?」

 

思わず声が出たといいます。由美子さんも驚きました。

 

「旅行で1,800万円使ったのは分かるけど、残りの1,400万円は何に使ったの?」

 

夫婦はそれまで、旅行の予算は毎年確認していたものの、生活費を含めた年間の収支をまとめて計算したことがありませんでした。

 

「旅行代だけ引き算して、まだ十分あると思っていたんです」

 

隆夫さんは、退職後の家計を初めて詳しく振り返ることにしました。

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