【FPが解説】収入保障保険に潜む「3つの見落としポイント」
実は、収入保障保険にはいくつかの見落としがちなポイントがあります。FPとして、必ず頭に入れておきたい3つの要点を解説します。
1. 受け取り時の税金の問題
収入保障保険を年金形式で受け取る場合、相続税と雑所得の両方が課税対象となります。
ヒロミさんの場合、夫の遺産は少なく、団体信用生命保険の実効は非課税であるため、相続税は基礎控除額(3,000万円+600万円×4人)の範囲内に収まり課税されません。また、ヒロミさんが働いていないため、受け取り始めの数年間は雑所得があっても基礎控除額の範囲で済み、事実上非課税となります。
しかし、受け取り年数が経過するにつれて、受取額は変わらなくても課税対象となる雑所得の割合が増えていきます。課税所得が増加すれば、場合によっては国民年金保険料の免除基準や児童扶養手当の支給要件に影響を及ぼす可能性も否めません。
2. 一時金(一括)で受け取る際の問題
雑所得の課税を避けるため、保険金を一括(一時金)で受け取る方法もあります。この場合、税金は相続税のみとなり、生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人の数)も使えるため非常にシンプルです。「それなら一時金で受け取ったほうが良いのでは?」と思うかもしれませんが、ここには2つの問題があります。
1点目は、受取総額の問題です。一時金で受け取った場合、年金形式で毎月受け取るよりも受取総額(合計額)が少なくなってしまいます。
2点目は、収入保障保険特有の「満期」の仕組みです。ケンさんの場合、15年満期で契約から7年が経過しているため、残りの8年分を受け取ることになります。もし契約の翌年に亡くなっていれば14年分を受け取れましたが、仮に満期まで残り2年の時点で亡くなれば、たった2年分しか受け取れません(「2年分では少なすぎる」という事態を防ぐために、「保証期間を5年」などと設定できるプランもあります)。
そもそも、なぜ収入保障保険の保険料はこれほど割安なのでしょうか。それは、受け取り方法が一時金にせよ年金形式にせよ、契約から時間が経つにつれて「遺族が受け取れる総額が減っていく」仕組みだからです。被保険者が生きている間、毎月支払う保険料はずっと同じ額で変わりません。
保険会社の立場になって考えてみましょう。満期までの間、変わらぬ保険料はずっと入ってきて蓄積される一方で、時間が経つにつれて、保険会社が準備しなければならない保険金額(責任)は減っていくのです。
3. 「物価の変動」と「家族の成長」が想定されていない問題
収入保障保険の保険金は「毎月10万円」と定額のまま変わりません。ケンさんが保険を契約した2019年の消費者物価指数の総合指数を99.8とすると、2025年は111.3に上昇しています。しかし、受け取る保険金額は物価変動に関わらず一定です。
さらに、子どもたちが成長すれば、行動範囲も広がり、塾や習い事、部活動が始まります。食べる量も増え、生活費や教育費は確実に増加します。定額の保険金だけでは、増え続ける支出をカバーしきれなくなるのです。
これが、ヒロミさんが「苦しい」と感じる根本的な理由です。
