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責任とストレスに挟まれる日々で問う「労働対価」
伊藤さんが直面している問題は、給料の格差だけではありませんでした。職場における日常的な負担が、精神を削り続けています。
中間管理職として、伊藤さんは上層部からの厳しい業績目標と部下の労務管理の間で常に板挟みになっています。役員からは売り上げ達成を詰められ、現場では若手の離職を防ぐ配慮が求められます。業務範囲は広がり、責任のみが加重されていく状況でした。
「上の指示と下の主張の調整に追われ、心が休まりません。休日であっても通知が鳴るたびにドキッとします」
同窓会を終えて都内に戻った後、伊藤さんの通勤風景は一変しました。超満員の通勤電車の中で吊り革に掴まりながら、何度もため息をつくようになったと言います。
「自分は何のためにこれほど苦労して働いているのだろうか?」
そんな自問自答が頭から離れません。毎月口座に振り込まれる65万円、年間で1,000万円を超える給与のために、自らの健康やプライベートな時間をすべて差し出す生活に対する疑問が生じたためです。
厚生労働省『令和7年労働安全衛生調査(実態調査)』によれば、現在の仕事や職業生活に関して強度の不安やストレスを感じている労働者の割合は67.5%。ストレスの要因(複数回答)としては、「仕事の量・質」「仕事の失敗、責任の発生等」が39.5%、「対人関係(セクハラ・パワハラ含む)」が32.9%となっています。管理職層では特に業務責任と人間関係の両面から負荷を受ける割合が高く、労働者の精神的負担が大きな社会問題となっています。
伊藤さんは現在、自らのキャリアとライフスタイルの見直しを模索し始めています。単に高い給与を追うのではなく、心身の健康と生活の質を維持できる働き方への転換が必要です。
「同窓会で同級生の暮らしを知り、見ない振りをしていた自分の限界に気づかされました」
労働の対価として得られる給与が自らの人生にとって本当に価値のあるものなのか――多くのミドル世代が直面するこの問いは、働き方そのものの再考を求めています。