ひとり親世帯が増えるなか、多忙な親に代わって孫の育児や学校行事を支える祖父母は少なくありません。しかし、無償の愛情から注いできた善意が、ある日突然、孫の思いがけない一言で拒まれてしまったら――。成長に伴う子どもの繊細な心理と、家庭内支援の難しさ。よかれと思った行動がすれ違う、家族のあり方を考えます。
「おじいちゃん、もう学校に来ないで…」〈年金月18万円・65歳〉、孫の一言に絶句。態度を一変させた「友だちの無邪気な一言」 ※写真はイメージです/PIXTA

「おじいちゃんたちが来てくれるから」楽しみにしていた学校行事だったが…

「おじいちゃん、今度の参観日には来ないで」

 

佐藤徹さん(65歳・仮名)は、小学4年生の孫から告げられた言葉に耳を疑いました。

 

徹さんには、娘の美咲さん(38歳・仮名)と孫の悠真くん(10歳・仮名)がいます。美咲さんは離婚後、仕事をしながら一人で悠真くんを育ててきました。仕事の都合で帰宅が遅くなる日もあり、実家に身を寄せて両親の助けを借りています。

 

徹さん夫婦にとって、孫の世話は日常の一部でした。学校から帰ってくる悠真くんを迎え、宿題を見たり、夕食を用意したりしていました。美咲さんが仕事で学校行事に出席できないときには、代わりに参加することもありました。

 

授業参観や運動会。孫が学校でどんな様子なのかを知ることは、徹さんの楽しみでもあったのです。

 

徹さんの年金は月18万円。会社員として60歳で定年退職し、その後、再雇用で契約社員として働き、年金受給スタートに合わせて完全リタイアの道を選びました。現在は夫婦の生活費をやりくりしながら、娘と孫の暮らしも支えています。

 

「娘もきちんと働いているから、経済的な援助は特に必要ない。日々、孫の面倒をみられるのが今は生きがいです」

 

ところが、ある日の授業参観を境に、悠真くんの様子が変わります。

 

その日も、美咲さんは仕事を休めず、徹さんと妻が学校へ向かいました。授業が終わり、帰宅した悠真くんに学校での様子を尋ねると、いつもより口数が少なかったといいます。

 

理由を聞いても、最初は「別に」と答えるだけ。ところが、夕食のあと、ぽつりと話し始めました。

 

「友だちに、お父さんとお母さん、随分と年をとっているんだねって言われた」

 

徹さん夫婦が参観日に来ていたため、友だちには両親だと思われたようです。悠真くんは祖父母だと説明したものの、友だちから父親がいない理由を尋ねられたそうです。

 

「ほかの子はお父さんとお母さんが来ているのに、うちは違う」

 

そんな気持ちを抱えていたのでしょう。

 

「もう学校には来ないで。友だちにいろいろ言われるから」