内閣府の『令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果』によると、収入を伴う仕事をしている単身高齢者のうち66.4%が「収入のため」に働いている実態があります。会社員時代に厚生年金へ加入していなかった自営業者の場合、十分な蓄えがない状態で廃業を迎えると老後資金が一気に枯渇するリスクを抱えています。
「まさか、こんな老後になるとは…」元自営業の年金月6万円・72歳独身男性。腰痛に耐えながら「時給1,200円のアルバイト」を続ける〈切実な理由〉 (※写真はイメージです/PIXTA)

ピーク時は年収600万円だったが…現在は「年金月6万円」で暮らす72歳独身男性

「まさか、こんな老後になるとは……」

 

地方都市の古い賃貸アパートで一人暮らしをするタツオさん(仮名・72歳)は、長年にわたり地元で小さな印刷屋を営んできました。かつては近隣の商店や学校からのチラシや冊子の注文で生計を立てており、ピーク時の年収は600万円でしたが、ペーパーレス化やネット印刷の普及といった時代の変化に対応しきれず、数年前に廃業を選択しました。

 

現在の固定収入は、月額約6万円の国民年金のみです。商売が傾き始めた時期に、生活費や事業の維持費を貯蓄で賄ったため、老後資金はほとんど残っていません。

 

厚生労働省の『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、国民年金(老齢基礎年金)受給者の平均年金月額は5万9,310円となっています。会社員時代に厚生年金へ加入していなかった自営業者の場合、十分な蓄えがない状態で廃業や退職を迎えると、老後の生活資金が一気に枯渇するリスクがあります。

時給1,200円・週4日…腰痛に耐えながら得ている「もう一つの収入源」

年金収入だけでは生活ができないため、タツオさんは地元の大型スーパーで、カート回収と店舗周辺の清掃を行うアルバイトを週に4日こなしています。時給1,200円で1日6時間勤務し、月収は約11万5,000円になります。

 

70歳を超えての体を動かす仕事は、決して楽なものではありません。とくに長年の作業で患った腰の痛みは慢性化しており、朝起き上がるのすらつらい日もあります。

 

頼れる家族もいないため、腰が痛む日も自分が無理をして出勤するしかありません。もしシフトを減らしたり休んだりすれば、翌月の家賃や光熱費の支払いが途端に滞ってしまいます。