(※写真はイメージです/PIXTA)
2025年国勢調査に見る「一極集中」と、地方の現実
なぜこれほどまでに、社員や家族の生活を犠牲にせざるを得ない転勤制度が維持されているのでしょうか。日本全体で進行する「極端な人口の偏り」と「地方の人手不足」という構造的な問題も一因としてあります。
2026年に発表された「2025年国勢調査」の速報値 によると、日本の人口動態は次のような深刻な局面を迎えています。
◎東京一強の加速:47都道府県のうち、前回(2020年)調査から人口が増加したのは「東京(+1.4%)」と「沖縄(+0.1%)」の2都県のみ。残り45道府県では人口が減少している。
◎首都圏ですら減少へ:埼玉、千葉、神奈川が人口減少に転じ、特に千葉・埼玉の減少は1920年の調査開始以来初、神奈川・愛知は戦後初のマイナスとなった。
◎一都三県に3割集中:首都圏(1都3県)の人口割合は全人口の30.1%に達し、初めて3割を超えた。
◎三大都市圏で半数:東京圏、大阪圏、名古屋圏を合わせると、日本全体の人口の約半分が集中。残りの道府県に残り半数が分散する形となっている。
若者の多くが進学や就職を機に三大都市圏へ集まる一方で、地方の支社や支店では人手不足が年々深刻化しています。大企業は地方拠点を維持するため、都市部で採用した社員を命令一つで地方へ転々させざるを得ないのが実情なのです。
ハツネさん一家のように、度重なる全国転勤は子どもの教育環境や配偶者のキャリア構築において、想像以上に大きな影響をおよぼしています。
全国展開する企業が、地方拠点の機能を維持するために、都市部で一括採用した人材を全国へローテーションさせる。この手法は、かつての「妻は専業主婦として夫に帯同し、家庭を守る」という昭和・平成のライフスタイルを前提に成り立っていたシステムです。
しかし、共働きが主流となり、配偶者のキャリアや子どもの教育環境が重視される現代において、地方拠点の人手不足を「一社員の家族の犠牲」によって補い続けるやり方は、明らかに限界を迎えています。
今後、日本全体でさらに人口減少が進むなか、企業側も転勤制度のあり方を根本から問われることになります。全国一律の支店網をこれまでどおり維持するのか、あるいは拠点をブロックごとに集約するのか。さらには、地方での待遇を大幅に引き上げて「現地採用・現地定着」を促すなど、事業モデルそのものの見直しが迫られるでしょう。
人口動態という大きな波と企業の事情に振り回されず、家族の幸せやQOLをどう守っていくのか。会社からの辞令にどこまで付き合うのか、夫婦で「働き方と生き方の境界線」を話し合っておくことが、現代のファミリー層にとって不可欠な防衛策といえそうです。
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