(※写真はイメージです/PIXTA)
「5年に1回」のはずが…
「現在の夫の月収は100万円。高収入で恵まれていると思われがちですが、もし結婚前にこんな生活になることを知っていたら、絶対に結婚していませんでした」
そう語るのは、専業主婦のハツネさん(仮名/39歳)です。42歳の夫は高収入であり、一見すると何不自由ない裕福な暮らしを送っているように見えます。
年1回の「転勤生活」
ハツネさん夫婦には、小学生の子どもが2人います。夫の会社は全国に拠点があるため転勤がある職種ですが、結婚前の夫からの説明では「転勤はあっても5年に1回くらい」と聞いていました。
ところが、いざ結婚してみると現実はまったく異なっていたのです。ほぼ毎年のように辞令が出され、ここ数年でようやく2年に1回ペースになった程度。ハツネさんは「言葉を選ばずにいえば、完全に騙されたという気持ちだった」と振り返ります。
この頻繁な引っ越しで、一番煽りを受けたのが幼い子どもたちでした。幼稚園で3回の転園を経験し、小学校に上がってからもすでに3回の転校を余儀なくされています。
「引っ越しのたびに、子どもたちは『せっかくできたお友達と離れたくない』『またなの?』と泣きます。新しい環境に慣れ、やっと打ち解けたころにまた別れを告げさせなければならない。親として、子どもにかわいそうな思いをさせていることが一番苦しいです」
苦しんでいるのは子どもたちだけではありません。ハツネさん自身も、引っ越すたびに地域コミュニティのゼロリセットを強いられてきました。
自治会や地域ごとのルール、PTAの役員決め、そしてママ友との人間関係……。見知らぬ土地へ行くたびに「よそ者」として気を遣いながら、いちから人間関係を構築し直さなければなりません。せっかく心を許せるママ友ができても、すぐに別れが訪れる繰り返しに、ハツネさんの心も疲弊しきっていました。
「これだけ家族を犠牲にするなら、もっともっと給料を上げて!」
世間からは「月収100万円なら十分すぎる」と思われがちですが、ハツネさんにとってその金額は見合うものではありません。
転勤のたびに発生する出費もばかになりません。子どもの幼稚園時代には、地域によって指定の制服・体操服、教材代などが異なり、高額な地域に当たると一度に十数万円の実費が吹き飛びました。これらは当然、全額が補填されるわけではないのです。
さらにハツネさんを追い詰めているのが、「自分自身のキャリアと社会的な存在意義の喪失」です。
ハツネさん自身も以前は働いていましたが、数ヵ月〜2年単位で全国を転々とする生活では正社員として働き続けることはできませんでした。結果として仕事を辞めざるを得ず、自身のキャリアは断絶しています。
「転勤が頻繁すぎるせいで、私は自分のキャリアも、自分で収入を得る道も諦める羽目になりました。私が得られたはずの収入や経験という機会損失は、一体誰が払ってくれるのでしょうか。普通に暮らす分にはお金に苦労しないかもしれませんが、家族の生活を犠牲にしているんです。転勤が必要な仕事だとは理解していますが、ここまで家族を振り回すなら、いまの夫の収入でも不十分です。もっともっと給料を上げて還元してくれなきゃ、割に合わない!」