「公務員=安定だが薄給」そんなイメージは過去のものになるかもしれません。人事院『令和8年版公務員白書』で明かされたのは、国家公務員の初任給の大幅引き上げと「30万円超え」という驚きの事実でした。深刻な若者の公務員離れに直面する霞が関が、なりふり構わず打ち出した給与改定の実態を紐解きます。
国家公務員の初任給が「30万円」超え!ルールを変えてまで挑む「国の本気」 ※写真はイメージです/PIXTA

国家公務員の初任給が「30万円」の大台を突破!

「公務員は安定しているが、給料は高くない」

 

多くの人がそう思っているのではないでしょうか。しかし、その常識は今、大きく覆ろうとしています。

 

人事院が発表した『令和8年版公務員白書(令和7年度年次報告書)』によると、国家公務員の初任給は、採用市場での競争力向上のため、高卒で1万2,300円、大卒で1万2,000円の大幅な引き上げが実施されました。さらに注目すべきは、いわゆる「キャリア官僚」と呼ばれる、本府省勤務の総合職試験(大卒程度試験)採用者の待遇で、諸手当を含めるとついに「30万円」を超えました。

 

若年層の給与に重点を置きつつ、その他の職員の給与も前年を大幅に上回る水準で引き上げられています。民間企業でも初任給アップのニュースが相次いでいますが、国家公務員も決して負けてはいません。むしろ、一気に大台に乗せてきた印象すら受けます。

 

なぜ、国はここまで大胆な給与引き上げに踏み切ったのでしょうか。その背景にあるのは、深刻な「若者の公務員離れ」と、かつてないほどの激しい人材獲得競争です。

 

白書の中でも、「行政課題が一層複雑・高度化している中で(中略)時代環境に対応できる多様で有為な人材を確保していくことが重要な課題」と強い危機感が示されています。今の若年層は、進路選択が早期化。さらに、働き方や就業に対する意識も多様化しました。優秀な学生たちは、旧態依然とした組織よりも、成長でき、待遇が良く、柔軟に働ける環境を求めます。その結果、「公務と民間企業等との人材獲得競争は一層激しくなっている」のが現状です。

 

かつては「黙っていても優秀な学生が集まる」といわれた霞が関。しかし、今は違います。長時間の超過勤務や、“ブラック霞が関”と揶揄されるような勤務環境への懸念もあり、公務員を敬遠する学生が増加しています。

 

こうしたなか、人事院や各府省も手をこまねいていたわけではありません。公務の魅力を発信するために、34府省等で構成する横断チームを作り、『国のミライをつくる、唯一無二の挑戦がある』といったブランドメッセージを策定するなどといった努力を続けてきました。

 

しかし、理念ややりがいを説くだけでは、目の前の優秀な人材を惹きつけるには不十分です。最終的には「待遇」という現実的な問題に、真正面から向き合わざるを得なかったのです。