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10年で約2倍に急増する「姻族関係終了届」の背景
配偶者の死後、いわゆる「死後離婚」と呼ばれる手続きを選ぶ人が近年増加しています。正式名称は「姻族関係終了届」といい、亡くなった配偶者の親族との法的な姻族関係を終了させる制度です。
法務省の『我が国の戸籍住民登録に関する統計』によると、姻族関係終了届の提出件数は、2008年度(平成20年度)の1,854件から、2022年度(令和4年度)には3,000件を超える水準となっており、近年は毎年3,000〜4,000件前後で推移しています。件数自体は全体として多いとはいえないものの、着実な増加傾向にあることがうかがえます。
民法上、夫婦関係は配偶者が死亡した時点で終了します。しかし、亡くなった配偶者の親族との姻族関係は自動的には消滅せず、法的には親族関係が継続するため、この関係を完全に終了させるために本届出が用いられます。
また、民法877条第2項では、「特別の事情」がある場合に限り、家庭裁判所の判断によって三親等内の親族間に扶養義務が認められる可能性があります。そのため、将来的な扶養や生活支援をめぐる不安を理由に、届出を検討する人もいます。
「冷たい人間だと言われるかもしれません。でも、夫がいない家で、私を介護要員としか見ていない義母のために、自分の残りの人生を犠牲にすることはできませんでした」
この届出は、残された配偶者本人の意思で市区町村へ提出でき、姻族側の同意や家庭裁判所の許可は必要ありません。なお、姻族関係終了届を提出しても、亡くなった配偶者の遺産相続や遺族年金の受給権に影響はないとされています。
一方で、法的な関係を終了した後も、実際の人間関係まで完全に断つとは限りません。長年の交流や家族としての情を理由に、一定の距離を保ちながら関係を続けるケースもあります。
美智子さんは現在、義実家から離れたアパートで一人暮らしを始め、自身のパート収入と夫の遺産を元に生計を立てています。ただ、連絡先は変えていないといいます。
「法的な関係がなくなったとはいえ、30年、一緒に暮らしてきたので。本当に、本当に、誰も頼る人がいなかったら、私がやってあげないと。それくらいの気持ちはあるので」