結婚生活において、多くの人にとって課題である嫁姑問題。早くこの関係を終わらせたい――そう思い悩んでいるケースもあるでしょう。ある女性の事例から、関係が良いとはいえない義親の対処法について考えていきます。
52歳嫁「もう、あなたとは他人だから」と捨て台詞。77歳義母「ふざけるな!」と激昂も完全無視、30年暮らした義実家を飛び出したワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

30年尽くした「長男の嫁」が下した決断

「これでようやく自分の人生に戻れます。お義母さん、長い間お世話になりました。でも、もう私たちは他人ですし、お互い執着するのはやめましょう」

 

役所に1枚の書類を提出した木村美智子さん(52歳・仮名)は、淡々とした口調でそう振り返ります。美智子さんが提出したのは「姻族関係終了届」。配偶者の死後に、夫の血族との親族関係を法的に終了させる手続き、いわゆる「死後離婚」です。

 

美智子さんは22歳のとき、2歳年上だった夫の木村和夫さん(仮名・享年54)と結婚。同時に、和夫さんの実家で義父(10年前に他界)と義母の木村律子さん(77歳・仮名)との同居生活が始まりました。

 

それから30年間、美智子さんは長男の嫁として、家事や育児、さらには義父の看病など、木村家の家事全般を担ってきました。しかしその間、常に「嫁」として下に扱われる扱いに、美智子さんは長年思い悩んできたといいます。

 

転機は突然訪れます。夫の和夫さんが、進行性の胃がんにより54歳で死去したのです。

 

夫の遺産や死亡保険金などは、法定相続分通りに美智子さんと子どもたち、そして一部は義実家の財産として処理され、美智子さん自身の今後の生活費としては一定の額が確保されていました。しかし、夫という防波堤を失った後、美智子さんには厳しい現実が突きつけられました。

 

「夫が亡くなった直後から、義母の態度がさらに変わりました。私を居候のように扱い、毎日のように『これからはあんたが私を支えるのが義務だ』と、介護や経済的な依存を当然のように要求してきたのです」

 

これまで何とか耐えてきた義母との関係でしたが、夫の死によって「これからは逃げられない」という絶望に変わりました。

 

美智子さんは相続した遺産には手をつけず、将来の引っ越しや完全な独り立ちの資金を自分の力で確実にするため、密かにパートのシフトを増やして貯蓄を始めました。そして、家を出る準備を完全に整えた上で、この届出を役所に提出したのです。

 

すべての準備を整え、荷物をトラックに積み終えた日、美智子さんは律子さんに書類の控えを渡しました。その瞬間、律子さんは激昂したといいます。

 

「30年もこの家にいて、和夫が死んだ途端に逃げる気か!」

「ふざけるな!」

「あんたには私を最後まで面倒見る義務があるんだよ!」

 

激昂する義母に対し、美智子さんは一切声を荒らげることなく、ただ一言を返しました。

 

「もう、あなたとは他人だから」

 

美智子さんはそのまま義実家を後にしたといいます。