超高齢社会を迎えた日本において、遠方に暮らす親の「独居生活」への不安は、多くの現役世代が直面する大問題。良かれと思った対応策が、親子関係の亀裂を生んでしまうケースも。ある親子のすれ違いのケースから、高齢の親への寄り添い方を考えます。
何様のつもり? 半年ぶり帰省の〈年収800万円〉45歳長男に、〈年金月10万円〉78歳母がブチギレ。「もう来ないで」と絶縁のワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

久しぶりの実家で見つかった「あぶなっかしい生活」の兆候

「まさか、実の母親からあんなに激しい言葉をぶつけられるとは夢にも思いませんでした。良かれと思ってやったことが、すべて裏目に出てしまいました」

 

都内の大手IT企業に勤務する高橋和樹さん(45歳・仮名)。 年収は約800万円で、静岡県内でひとり暮らしを続ける母・美智子さん(78歳・仮名)に毎月仕送りをしていました。 異変に気づいたのは、約半年ぶりに帰省したときのことでした。

 

実家の玄関を入った瞬間から、和樹さんは違和感を覚えたといいます。 以前に比べて、家の中が片付いていないのです。

 

「母はもともと几帳面な性格だったのですが、居間のテーブルの上には薬の袋やチラシが散乱していました。さらに冷や汗が出たのは、台所のコンロの周りです。油汚れがそのまま放置され、焦げ付いた鍋がシンクに置いたままになっていました」

 

美智子さんの現在の収入は、亡き夫の遺族年金と合わせても月に約10万円。 和樹さんから毎月仕送りがあるとはいえ、日々の生活費を切り詰めながら暮らしています。 和樹さんが「ちゃんとご飯食べてるの?」と聞くと、美智子さんは「食べてるわよ」と答えるだけでしたが、冷蔵庫の中には調味料などしか入っておらず、本当にちゃんと食事をとっているのか、不安は増していきます。

 

さらに和樹さんがショックを受けたのは、美智子さんの「歩き方」でした。

 

「お茶を淹れて持ってきてくれたのですが、明らかに歩く速度が遅くなっていて、足元が終始おぼつかないんです。すり足で、少しの段差にもつまずきそうになっていました。母のそんな姿を見たのは初めてで、強いショックを受けました」

 

事あるごとに心配や不安を口にする和樹さんに対し、「大丈夫」という言葉を繰り返す美智子さん。 しかし、目の前にある身体的な衰えは、明らかに限界を迎えているように見えたといいます。