(※写真はイメージです/PIXTA)
「時間がいくらあっても足りない」60歳で完全リタイアを決意
地方都市の賃貸マンションで一人暮らしをするトシゾウさん(仮名・65歳)。5年前、30年以上勤めた中堅商社を定年退職し、「これ以上働くのにはうんざりだ」と再雇用の打診もきっぱり断りました。
トシゾウさんは完全リタイアしてからの5年間、まさに怒涛の日々を送りました。
退職してすぐに中古のミニバンを車中泊仕様にDIYし、1ヵ月かけて九州の温泉を巡る気ままな旅に出発。さらに、若いころに訪れたタイへ再訪したり、昔から興味があったピアノや油絵を始めたりと、自由な時間を満喫しているそうです。
「働いていたころに『いつかやろう』と後回しにしていたことを、次々と実現できています。本当に時間がいくらあっても足りないくらいですよ」
「生活費の足しになれば十分」資産7,000万円を背景に、年金の〈繰上げ受給〉を選択
トシゾウさんの軽やかなリタイア生活は、若いうちから培ってきた経済基盤があってのものです。
退職金と長年積み立ててきた投資信託などを合わせた金融資産は、現在約7,000万円。生活費として定期的に取り崩していますが、長期運用の複利効果もあり、口座の数字が急激に減るような焦りとは無縁です。
この安心感を土台に、トシゾウさんは60歳で年金の「繰上げ受給」を決断しました。本来65歳から月約15万円を受け取れる予定でしたが、受給の前倒しによって30%減額され、受給額は月約10万5,000円に(※)。
※年金の繰上げ減額率は、昭和37年(1962年)4月1日以前生まれの方(トシゾウさんの世代)は最大30%、同年4月2日以降生まれの方は最大24%となります。
年金事務所の窓口では、「受け取れる年金が一生涯減ってしまいますが、本当によろしいでしょうか」と、繰上げ受給のデメリットを強調されました。
しかし、トシゾウさんは「生活費の足しになれば十分」と迷いはありませんでした。