(※写真はイメージです/PIXTA)
役割の終焉が招く「自己喪失」
厚生労働省によると「空巣症候群」は、「子どもが成長し巣立って、巣(家)が空っぽになってしまったことが、一種の喪失体験となり、寂しさなどを感じること。精神医学的にはうつ状態、うつ病の一種であることが多いものです」とされています。加藤さんの妻の場合、家系からのプレッシャーや高い教育目標を掲げていたため、受験終了により「人生の目的」そのものを失ってしまったのでしょう。
国立社会保障・人口問題研究所『第7回 全国家庭動向調査(2022年社会保障・人口問題基本調査)』によると、1日の平均家事時間は平日で妻247分に対して、夫は47分。休日は妻276分に対して、夫は81分。平日では約5倍、休日で約3.5倍の差があります。また妻も夫も正社員だった場合でも、平日の家事時間は妻が「2~4時間」が最も多く48.1%、対して夫は「2時間未満」が79.2%にのぼります。
共働きが増え、妻が正社員というケースは珍しくなくなりました。それでも家事、そして子育てにおいて、圧倒的な男女格差が生じています。
一方で子育てが終わるころ、女性はメンタルヘルスの不調に陥りやすい年齢でもあります。クラシエ薬品株式会社の調査によると、30~60代女性の8割がメンタルヘルス不調を実感し、特に更年期世代(45~54歳)がピークだといいます。そして「日常生活でストレスを感じていること」として、この世代は「将来の不安について」(51.9%)に次いで、「自身の健康・体調・体質について」(45.2%)が挙がっています。
子の大学合格を機に、心にぽっかりと穴が開いてしまったことに加えて、自身の不調も重なり、ガタガタと崩れてしまう――。こうした事態を防ぐには、子育ての渦中にある段階から、意識的に「母」以外の顔を持つ時間を作ることが不可欠です。
同時に、妻だけに教育や家事の負担を負わせない環境づくりも欠かせません。子育て終了後に深い喪失感を生まないためにも、夫婦がしっかりと寄り添い、互いの存在を「パートナー」として意識し続けることが、長い後半生を共に歩むための不可欠な備えとなるはずです。
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