長年、懸命に働き続けてきた就職氷河期世代が、老後を前に厳しい現実に直面しています。将来の生活を支えるはずの年金受給見込み額が、到底生活できない水準。ある男性のケースから、当時の労働環境と社会保険制度の問題をみていきます。
「真面目に働けば報われる」は嘘だったのか。50歳氷河期世代の絶望、ねんきん定期便に記された「月12万円」の衝撃 (※写真はイメージです/PIXTA)

個人の努力では抗えない…氷河期世代、低年金の現実

田中さんのように、就職氷河期に社会へ出た世代が直面する低年金問題は、個人の努力不足ではなく、当時の労働市場の歪みと社会保険制度の不備が招いた事態といえます。

 

厚生労働省『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、厚生年金保険(第1号)の平均受給額は基礎年金を含めて15万1,142円。これは加入期間が40年近いケースも含まれた平均です。田中さんのようにキャリアの前半を非正規雇用として過ごし、厚生年金の加入期間が短い場合、受給額が大幅に減少するのは現在の仕組み上、避けられません。

 

背景には、当時の非正規雇用に対する社会保険適用の壁があります。かつては「週30時間以上」かつ「正社員の4分の3以上」の労働時間が加入条件であり、多くの企業がコスト削減のためにこの基準を下回る契約を徹底していました。内閣府が公表した『就職氷河期世代支援に関する施策の現状』によると、同世代の非正規雇用者は現在も約300万人を超えており、そのうち「不本意ながら非正規で働いている」層が一定数存在し続けています。

 

また、月額12万円という受給見込み額は、家賃負担のある都市部の単身世帯にとって、生活保護基準額を下回る可能性があります。総務省『家計調査 家計収支編 2025年平均』によると、65歳以上の単身世帯の月平均支出は15万5,782円。そのうち、持ち家/賃貸で大きな差が生じる「住居費」を引くと、13万2,653円。額面月12万円の年金では平均的な生活はかなうはずがなく、その分、貯蓄を取り崩すという対応になります。

 

しかし、現役時代から不安定な雇用に置かれ、十分な資産を築けなかった人々にとって、その選択肢さえ用意されていないのが現実です。真面目に働いてきたはずの年月が、老後の困窮という形で返ってくる――。このあまりに不条理な格差こそが、今の日本社会が抱える根深い問題といえるでしょう。

 

 

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