(※写真はイメージです/PIXTA)
親心が当然の義務に変化
「まさか、自分の娘からあんな言葉をぶつけられるなんて思ってもみませんでした。ただただ、情けなくて、悲しくて……」
都内のマンションに暮らす高橋信子さん(70歳・仮名)。高橋さんは数年前に夫を亡くし、現在は月12万円の年金と、貯蓄を取り崩しながら暮らしています。日々の生活は決して余裕があるわけではありませんが、食費や光熱費を切り詰めて何とかやっています。
そんな高橋さんの楽しみだったのが、近郊の街に暮らす長女(42歳)とその息子である孫(15歳)の存在でした。
「初孫なんですが、本当にうれしくて、うれしくて。娘夫婦は共働きで忙しそうだし、生活も大変そうだったから、日々のお迎えとかのほかに、金銭的なサポートもしてきました」
金銭的な支援は、当初、誕生日やお年玉といった季節のお小遣いのほか、入学祝いや進級祝いなど、節目のお祝いという名目で行っていました。しかし、孫が成長するにつれて長女からの要求は徐々にエスカレート。「塾の夏期講習代が足りない」「部活動の遠征費を立て替えてほしい」といった理由で、たびたび無心されるようになったといいます。
「孫のため、といわれると、断れないですよ。孫も大きくなってできることといえば、お金を出すことくらいですから」
高橋さんのように、自身の老後資金を削ってまで子や孫に金銭的援助を行う高齢者は少なくありません。総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年平均結果」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における実収入は254,395円に対し、消費支出は263,979円となっており、毎月赤字が発生しています。
また、単身高齢者の月の消費支出は平均15万5,782円です。一方で、高橋さんの年金収入は月12万円(額面)。自身の生活を維持するだけで限界であるはずの家計から、長女世帯への仕送りを捻出していたことがうかがえます。