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統計が示す「通勤・給与・目的」の再定義
厚生労働省『令和6年賃金構造基本統計調査』によると、50代後半と60代前半の平均給与を比べて、正社員から正社員と雇用形態が変わらない場合は、60歳を境に2割減、正社員から非正規社員へと変わった場合は4割減となります。
60歳定年を境に、どのような働き方であろうと給与減は避けられない状況です。「定年前と同じような仕事内容であるにもかかわらず、給与が大幅に減った」というケースも珍しくありません。そのような現状を前に、60歳を境に「働くこと」を再定義することは重要だといえるでしょう。
佐藤さんのように、「通勤時間を切り捨てる」という決断も、一つの選択肢です。総務省『令和3年社会生活基本調査』によれば、日本人の通勤時間の平均(行動者平均)は平日で往復1時間19分。1週間で395分、1カ月(20日)で1,580分、1年で1万8,960分にのぼります。1年で2週間弱もの時間を、通勤に費やしていることになります。この時間の価値を見直すことは、大きな意味を持つでしょう。
内閣府『令和7年高齢社会白書』によると、収入を伴う仕事をしている主な理由として「収入のため」という声が最も多く(55.1%)、労働の対価として給与を期待する人は多数を占めます。
一方で「働くのは体によいから、老化を防ぐから」(20.1%)、「自分の知識・能力を生かせるから」(12.4%)、「仕事が面白いから」(4.8%)、「仕事を通じて友人や仲間を得ることができるから」(3.0%)など、健康維持や社会との接点を維持することに実質的な価値を見出している層は4割近くにもなります。
高齢者の働く環境は年々整備され、定年以降も再雇用を希望する人がほとんどです。ただ、何となく流されるまま再雇用を選択する人も少なくないでしょう。
そのような既存の枠組みに縛られず、自分にとって何が最大のメリットになるのか。一度立ち止まって考えてみることが、満足度の高い老後生活を送るための鍵となるのかもしれません。