(※写真はイメージです/PIXTA)
大手企業で働いていた定年サラリーマン…自宅近くの倉庫で働くワケ
千葉県内の大型物流センターで、夜22時から翌朝7時までのシフトに入る佐藤博さん(62歳・仮名)。3年前まで、都内の大手企業で働いていました。
定年を控えていたとき、関連会社での再雇用の話があったそうです。月収は40万円、年収で500万円、週5日フルタイム勤務という好条件でしたが、佐藤さんはこの申し出を辞退し、自宅近くの倉庫での仕事を選びました。
佐藤さんは、再雇用を選択しなかった理由について、自身の役割の変化を挙げています。
「再雇用で残ったかつての同僚たちは、現役時代の部下が上司となる環境下で、責任の伴わない付随的な業務に従事していました。そのような働き方は、組織に籍を置く安心感はあるものの、収入以外に働く意味を見出すことができなかったんです。それであれば、まったく異なる環境で、ゼロから働きたいと思ったんです」
佐藤さんは定年以降の働き方として、今までの生活から削ぎ落としたいものは何かを、まずは考えたといいます。そこで真っ先に浮かんだのが「通勤時間」でした。
「現役時代、片道1時間半強をかけて出社していました。再雇用先ではさらに通勤時間が増えるんです。人生、先は長くないのに、これほど無駄なことはないな、と思ったんですよね」
現在の業務は、通販サイトの注文商品を確認し、段ボールへ梱包するピッキング作業。ハンディ端末を使用し、倉庫内の商品を集める「モクモク作業」が中心で、深夜手当を含めた時給は1,500円程度。月収は約24万円で、再雇用で働いていた場合の半分程度の収入だといいます。しかし、そんな佐藤さんの一日は、現役時代よりも規則正しいそうです。
「朝、仕事を終えたあと、ちょっとしたモーニングを楽しみます。さらに週に3日ほどはジムに行って体を動かすこともありますね。就寝は11時くらいで、16時くらいには起きて。それから妻と買い物にいって、夕食を食べたら出勤です」
昼夜逆転の生活ですが、「仕事終わりの朝時間」や「起きたあとの夫婦の時間」は、現役時代にはない充実した時間であり、満足度が高いといいます。
「みんなが働きに出る時間にゆっくりとモーニングを食べ、夕食も夫婦で楽しむ。本当、贅沢な時間を過ごしていると実感します。普通の人と時間感覚が真逆なので『友人らとの交流が減ってしまうのでは』と心配もありましたが、仕事のない土日であれば、夜に飲みに行ったりと、意外と時間を合わせることができる。特に不便を感じることもないんです」