現代日本において、生涯を独身で過ごす「おひとりさま」が増加しています。特に興味深いのは、女性の場合は「年収が高くなるほど未婚率が上がる」という傾向があることです。2020年の就業構造基本調査をみると、男性は年収が高くなるほど未婚率が下がり、女性は年収が高くなるほど未婚率が上がることがわかります。かつてのように生活のために結婚する必要がなくなった自立した女性たちが、結婚以外の選択肢を選んでいる結果といえるでしょう。しかし、高収入で自立しているからといって、将来の不安がまったくないわけではありません。今回は、おひとりさま女性の事例から、おひとりさま特有のマネープランのリスクについて解説します。
「頼れるのは自分だけだった」血のにじむ努力で得た月収100万円が月収20万円に…生活苦からマンションを売却した62歳おひとりさま女性が、シニアバスツアーでみつけた〈本当の贅沢〉 (※写真はイメージです/PIXTA)

圧倒的な努力で掴んだ「月収100万円」と「都心のマンション」

ミスズさん(仮名/62歳)は現在、フリーランスのコンサルタントとしてマイペースに働きながら、充実した生活を送っています。しかし、彼女のこれまでの人生は、決して穏やかなものではありませんでした。

 

ミスズさんの生い立ちは過酷でした。両親の離婚後、母親が心の病を患い、幼少期の多くを養護施設で過ごしました。天涯孤独に近い環境で育った彼女の原動力は、「自分の力で這い上がり、豊かな生活を手に入れる」という強烈なハングリー精神でした。

 

都内の大手企業へ入社したミスズさんは、誰よりも早く出社し、泥臭い新規開拓もいとわず、休日も自己研鑽に費やしました。圧倒的な仕事量と結果で周囲を黙らせ、「自分の身を守るのは、自分の実力だけ」という執念で異例のスピード出世を果たします。

 

42歳になったミスズさんは、都心のマンションを約8,000万円で購入。堅実に貯めていた資金2,800万円を頭金にし、残りの約5,000万円で35年の住宅ローンを組みました。当時の月収は100万円(賞与別)で、毎月18万円の返済を背負い、もっと仕事を頑張ろうというやる気に繋がりました。

フリーランスになったワケ

50代目前、会社の評価制度が個人の成績からチームのマネジメント重視へと変わりました。プレイヤーとして稼ぎたいミスズさんは、会社の方針に窮屈さを感じるようになります。

 

「私の実力と顧客基盤があれば、独立したほうが自由に稼げるはず」自分の実力を信じていたミスズさんは、会社を辞め、起業の道を選びました。

 

独立当初は順調でした。持ち前の営業力でがむしゃらに働き、会社員時代と同等の収入をキープしていました。しかし独立から5年後、ミスズさんを予期せぬ悲劇が襲います。長年の過労の蓄積と重い更年期障害が重なり、自律神経を大きく乱して倒れてしまったのです。激しい倦怠感でベッドから起き上がれない日々が続きました。

 

自分が倒れれば、収入はゼロになります。会社員時代のような傷病手当金や有給休暇はありません。収入が途絶えても、マンションのローン引き落しは続きます。「なんとか働かなければ」と焦るほど体調は悪化し、ミスズさんはみるみるうちに貯蓄をすり減らしていきました。「私が頼れるのは自分だけだったのに、その自分が壊れてしまうなんて……」ミスズさんは絶望の淵に立たされました。