50代という働き盛りの時期に、会社のリストラ対象となってしまったSさん(61歳)。当時は絶望しましたが、会社から提示された多額の割増退職金2,300万円を手に早期退職を決意しました。その後は年収300万円の無理のない仕事に就き、重圧から解放されることに。ネガティブに捉えられがちなリストラを機に、かえって幸せなシニアライフを手に入れた60代男性の事例を紹介します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
多額の「割増退職金」を受け取るという選択
Sさんのように、50代で会社の早期退職募集に応じるケースは、決して珍しいことではありません。東京商工リサーチが発表したデータによると、上場企業による「早期・希望退職募集」の人数は、2025年には1万7,875人に達し、労働市場における大きな動きとなっています。
注目すべきは、人員削減を実施する理由です。同調査によれば、募集を行った企業の約7割が業績の良好な「黒字企業」でした。かつてのような業績悪化に伴うリストラではなく、組織の若返りや事業構造の転換を目的とした前向きな人員整理が増加しているのです。こうした黒字企業が実施する希望退職では、退職者に対して多額の割増退職金が用意される傾向にあります。
Sさんが受け取った2,300万円という退職金も、こうした制度の恩恵といえるでしょう。このまとまった資金がセーフティネットとして機能したからこそ、Sさんは収入を落として精神的な余裕を選ぶ決断を下すことができました。多額の割増退職金を手にして働き方を見直す選択は、現代のシニア層における新しいキャリア戦略の一つとして定着しつつあると考えられます。
[参考資料]
東京商工リサーチ「2025年 上場企業『早期・希望退職募集』状況」