52歳のときに会社で実施された早期退職に手を挙げ、親のサポートのために実家の近くへ転居する決断をしたYさん(58歳)。退職時の蓄え3,800万円と割増退職金2,000万円をベースに、コツコツと株式投資を継続。現在は親を見送って海沿いの中古マンションに移り住み、金融資産1.3億円超という盤石な基盤を築きました。「人生100年時代」を見据え、年金の70歳繰り下げも視野に入れる、50代男性の事例を紹介します。
「スッパリ辞める決断をしました」親の介護に直面した58歳男性、〈割増退職金2,000万円〉で早期退職。年金の70歳繰り下げも余裕な〈盤石すぎる資産額〉 (※写真はイメージです/PIXTA)

早期退職制度を活用した「介護離職」の現実

Yさんのように、親の介護やサポートに直面した際、会社の早期退職制度を「切り札」として活用するケースが増えています。厚生労働省の「雇用動向調査(令和5年)」によると、家族の介護・看護を理由に離職する人は年間約10万人にのぼります。とくに働き盛りである50代の介護離職は、大幅な収入減を伴うため老後破綻の引き金になりやすいのが現実です。

 

しかし一方で、企業側が手厚い退職条件を提示するケースも目立っています。東京商工リサーチのデータによれば、上場企業による「早期・希望退職募集」の人数は、2025年には1万7,875人に達しました。さらに、募集企業の約7割が業績の安定した「黒字企業」であり、多額の割増退職金が用意される傾向にあります。

 

Yさんが受け取った2,000万円という割増退職金も、こうした制度の恩恵です。本来ならリスクの高い「介護離職」ですが、多額の割増退職金と事前の資産形成(投資による配当収入)を組み合わせることで、ピンチを「自由なセカンドライフへの転換点」に変えることが可能になります。

 

企業の手厚い退職支援を上手く活用することが、現代のシニアが直面する親の介護問題におけるひとつの防衛策といえるでしょう。

 

[参考資料]

厚生労働省「令和5年 雇用動向調査結果の概要」

東京商工リサーチ「2025年 上場企業『早期・希望退職募集』状況」