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管理職を襲う「過負荷」と人手不足の代償
厚生労働省『令和6年賃金構造基本統計調査』によると、役職別の平均賃金(月額)は、部長級で60.1万円、課長級で49.5万円となっています。高橋さんの「月収45万円」は、部長職という重責を担いながら、統計上の課長級平均をも大きく下回る水準です。これは、人手不足に悩む企業が、適切な報酬を用意できないまま、肩書きだけで責任を押し付けている実態を示しています。
こうした「割に合わない」実態は、数値にも顕著に表れています。株式会社EVeMが管理職1,210名を対象に行った『管理職の実態調査 2025』によると、管理職の約6割が「以前より業務が増えた」と回答し、64%が「業務量が多い」と実感しています。その背景には「人手不足」や「業務の多様化」があり、現場のマネジャー個人がその穴埋めを一手に引き受けている実態が浮き彫りになりました。
さらに深刻なのは、精神的な孤立です。同調査の自由記述では「部下が育たない」「上層部と部下の板挟み」といった人間関係の悩みが上位を占め、約8割の管理職が「今後も業務量が見直されるとは思えない」と回答しています。高橋さんが経験した機能停止は、単なる過労だけでなく、「努力しても状況が改善されない」という絶望的な閉塞感が引き金となったといえます。
「昇進したくない社員が7割」とも言われる現代、管理職の仕事はもはや個人の精神力でカバーできる範囲を超えています。企業は、一人の有能な人材に依存する体制が組織を崩壊させるリスクを直視し、高橋さんの勤務先が講じたような「業務の物理的な分割」や「人材への投資」といった、属人性に頼らない仕組みを構築しなければなりません。