物価高がとどまるところを知りません。総務省の『消費者物価指数(令和8年6月分)』によれば、生活に直結する「食料」の指数は約3割も上昇しています。カツカツの生活を続けてきた年金暮らしの高齢者にとって、わずか数年で3~4割の物価高となる状況は、生活の根幹を揺るがす死活問題です。〈年金月10万円〉で暮らす74歳男性の事例を通して、おひとりさまシニアの過酷な現状を見ていきましょう。
高ぇよ…〈年金月10万円〉74歳おひとりさま男性の悲鳴。「惣菜すら手が出ない」“物価高”直撃の厳しい老後 (※写真はイメージです/PIXTA)

生活費は約10万円の年金だけ…身を切る節約を続ける74歳おひとりさま男性

「年金だけで生活するのが、これほど苦しいとは……」

 

シゲノブさん(仮名・74歳)は、都内近郊にある、築40年の古いワンルームのアパートで一人暮らしをしています。65歳で定年を迎えて以降、収入源は月に約10万円の年金のみ。それだけでは生活が成り立たず、貯金はすでに600万円を切っています。

 

月々の家賃は4万4,000円。そこに水道光熱費や通信費などを合わせると、固定費だけで6万5,000円近くになります。手元に残るお金は3万5,000円弱しかありません。このわずかな金額で、1ヵ月分の食費から医療費、日用品までをすべて賄わなければならないのです。

 

内閣府の『令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果』によると、同居者がいない単身シニアの1ヵ月あたりの生活費の平均は13.9万円となっています。シゲノブさんの月約10万円という年金収入では、平均的な生活を送るだけでも毎月約4万円の赤字が出る計算です。

 

そのため、スーパーへ行くのは夕方以降と決めており、半額になった見切り品の野菜や惣菜を狙って購入。洋服はもう何年も新調しておらず、夏場も極力エアコンの使用を控えて扇風機だけでしのぐなど、身を削るような節約を続けてきました。

「高ぇよ…」惣菜すら手が出ない。カツカツの生活をさらに追い詰める“物価高”

そんなもともと綱渡りのような生活だったシゲノブさんに、昨今の物価高が追い打ちをかけています。生活必需品が軒並み値上がりするなかで、特に深刻なのが「食品の価格高騰」です。

 

総務省の『消費者物価指数 全国 2026年(令和8年)6月分』によれば、2020年を100とした場合の総合指数は113.6ですが、生活に直結する「食料」の指数は128.6と3割近く上昇しています。項目別に見ると、お惣菜などの「調理食品」は130.5、パンや麺類を含む「穀類」は146.3に達しており、わずか数年で3〜4割以上も価格が跳ね上がっている計算になります。

 

「こないだスーパーの値札を見て、思わず『高ぇよ』とツッコんでしまいました。半額シールが貼られるお惣菜も、元の値段が上がっているから全然安く感じません」

 

シゲノブさんにとって、安価でお腹を満たせる半額の惣菜やパン、麺類は生活の頼みの綱でした。それすらも買いづらくなったことで、食事の回数を減らす日もしばしば。

 

「この先、さらに物価が上がるんじゃないかと考えると、生きていけるのか不安です……」