(※写真はイメージです/PIXTA)
国家公務員ならではの「婚活の悩み」
「公務員というだけで、出会いに困ることはなかったです」
為国勤さん(仮名・35歳)は都内の中央省庁で国家公務員として働いており、現在の年収は約720万円です。倒産の心配がない安定と、同世代の平均を上回る収入を備えた勤さんのもとには、婚活アプリに登録した直後から女性からの「いいね」が殺到しました。
「純粋に嬉しかったのは最初だけ。実際に何人かの女性と会って話をするうちに、あれ? 何かおかしいな? と感じました」
勤さんの違和感の正体は、女性たちの質問が常に「条件面」に集中していたことです。
「僕の休日の過ごし方や趣味の話には反応が薄いのに、配属先がどこか、ボーナスは年に何カ月分出るのか、退職金はいくらくらいもらえるのかといった話になると、途端に前のめりになるんです」
勤さんは日々の激務のなか、必死にキャリアを築いてきました。しかし、勤さんの努力や人間性を軽視する目の前の女性たち。
「ただ安定した生活を保証してくれる存在としてしか見られていないことに気づき始めました」
「公務員の妻になりたい」という言葉が婚活を諦める決定打に
決定的な出来事となったのは、アプリで出会った30代前半の女性とレストランで食事をしたときのことでした。
「お酒が入って気分がよくなったのか、彼女が突然『私、昔から公務員の妻になるのが夢だったんです』と嬉しそうに語り始めたんです」
勤さんは一瞬、自分の耳を疑いました。
「彼女は続けて『やっぱり国家公務員は将来ずっと安泰ですよね。結婚したら専業主婦になって、のんびり暮らしたいな』といい放ちました」
その瞬間、勤さんのなかで何かが完全に冷めきっていくのを感じました。女性は悪気なく本音を漏らしただけかもしれません。しかし、勤さんにとってその言葉は「私の安定のために、あなたは働くのよ」と宣言されたのと同義だったのです。
「僕だって感情のある一人の人間です。ただのATMや、将来の不安をなくすための保険扱いされるために結婚したいわけじゃありません」
自分の中身を愛してくれるのではなく、肩書きしか見ない女性ばかりの婚活市場に、勤さんはすっかり嫌気がさしてしまいました。
「誰かの人生の寄生先になるくらいなら、一生独身でいいです」
勤さんはその日のうちにアプリを退会し、現在は気心の知れた職場の同僚たちと趣味を楽しむ平穏な日々を送っています。
ライフイベントの年収ハードルが、男性への「依存」を加速させる
勤さんのように、自身の肩書きや年収ばかりを見られ、人間性を無視されることに疲弊して婚活を降りる高ステータス・安定職の男性は少なくありません。
SMBCコンシューマーファイナンスが発表した「婚活・結婚に関する意識・実態調査」には、未婚者が思い描くライフイベントと年収のイメージが示されています。同調査によると、未婚者が「子どもを1人育てられると思う世帯年収額」の平均は732万円、「マイホームを購入できると思う世帯年収額」の平均は863万円でした。
これらの数値は、一般的な20代・30代の単独の年収では容易に届かない高いハードルです。だからこそ、一部の女性たちはこのハードルを軽々と飛び越えさせてくれる「公務員」や「高年収」の男性を探し求めます。
しかし、そうした女性からの過度な期待や「養ってもらって当然」「安定が欲しい」という依存的な態度は、男性にとって大きな重圧と不信感を生み出すでしょう。条件ありきの婚活市場が生み出すこの残酷なミスマッチは、ステータスを持つ男性たちを結婚から遠ざける大きな要因となります。
[参考資料]
SMBCコンシューマーファイナンス「婚活・結婚に関する意識・実態調査」