昨今の働き方改革により、過酷な労働環境やハラスメントを排除する動きが加速しています。企業は「働きやすさ」を追求し、若手社員を丁寧に守り育てる文化を築いてきました。しかし、それでも会社を去る若手が後を絶たないといいます。ある女性社員のケースから、新たな人材流出の実情をみていきます。
「優しすぎて、絶望しました」…好待遇の企業に就職した「月収30万円・23歳エリート女性」が、わずか1年で退職を決意した「切実な理由」 (※写真はイメージです/PIXTA)

5割超の若手が「成長不安」で離職を検討

松本さんが目撃した光景は、決して個別の事例ではありません。株式会社エレメントが実施した『ホワイトハラスメントに関するアンケート調査(2026年2月)』によると、自身の職場の負荷が「非常に低い」「低い」と回答した若手層のうち、なんと54.8%が将来へのリスクから「転職を検討」しているという実態が判明しました。

 

内訳を見ても「具体的に活動中」が10.3%に上り、ワークライフバランスが充実しているはずの環境が、若手にとって「長く留まるべきではない場所」と化している現状があります。

 

特に深刻なのは地域や業種による偏りです。東京都に勤務する若手では、全国平均(11.0%)を大きく上回る16.4%が負荷不足による物足りなさを感じており、そのうち44%が「1年以内の転職」を検討していることが分かりました。

 

また、業種別では金融・証券・保険業の55%が「負荷不足」を実感しているという結果も出ており、大手企業が多い業界ほど、コンプライアンス遵守の徹底が「過剰な配慮」を生み、若手の成長意欲との乖離を招いています。

 

一方、上司側の実態も切実です。管理職の約68.3%が「ハラスメントを恐れて指導を控えた・手加減した」経験があると回答。指導時に最も神経を使うポイントは「言葉選び(68.8%)」が突出しており、加害者になることを恐れるあまり、本来必要な教育が麻痺している現状があります。

 

若手が求めているのは、単なる「優しさ」の提供ではなく、対面での納得感あるフィードバック(約27%)です。上司が抱える「法的リスクへの不安」を組織として担保し、管理職が萎縮せずに必要な指導を行える環境を整えることが、結果として若手の離職を防ぎ、健全な育成環境を取り戻すことにつながるでしょう。

 

[参考資料]株式会社エ

レメント/弁護士保険STATION『【600人調査】ホワイト企業なのに…?ホワハラ予備軍の衝撃』