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地元ではなく、東京で働く選択
就職先は専攻を活かせる職種を軸に企業を探した。地元・新潟での就職も選択肢にはあったが、最終的にキャリアの可能性を広げることを優先し、東京の企業を選んだ。4月から都内のIT関連企業で働きはじめ、初めての一人暮らしがスタート。月の手取りはおよそ20万円。入社前は「月1万円ちょっとの返済なら問題ないだろう」と思っていたのだが……。
東京での生活が始まると、見通しはすぐに崩れた。都内の家賃相場は新潟とは比べものにならず、妥協して選んだワンルームでも月7万円以上。さらに食費、水道光熱費、通信費、交通費など、実家暮らしでは意識しなかった支出が次々と発生する。
「自炊しなくても食費はかからなかったし、光熱費も気にしたことがなかった。東京に来て初めて、生活ってこんなにお金がかかるんだと実感しました」
両親が定期的にお米を送ってくれることが、いまの生活のなかでの小さな支えになっているという。
10月から返済開始、「月にたったの1万円」のはずが…
卒業から約半年、10月から月1万330円の返済が始まった。数字だけみれば大きくはないが、毎月の支出をギリギリで管理しているAさんにとって、この1万円は軽い負担ではない。
引き落とし日の前日には残高を確認する習慣がつく。外食を控え、飲み会の誘いも回数を絞る。昼食は毎日弁当を持参している。
「東京の生活のなかで1万円を毎月出すのは、思っていたより大変でした。いい思い出になりましたが、卒業旅行を我慢して、あのとき、少しでも先に返済に充てていたらもう少し楽になったかもしれないと思わずにはいられません」
借りるときは「まあなんとかなるだろう」と思っていた。しかし返済が始まると、その感覚は大きく変わった。借入総額144万円、返済期間は約14年。完済予定は37歳ごろになる見込みだ。結婚、住宅購入、貯蓄など、これから訪れる人生の節目のなかで、この返済は長く続いていくことになる。
「ボーナスで早く返したい気持ちはあります。でも1年目のボーナスは数万円でしたし、来年いくらもらえるかもまだわかりません」
「必要な分だけ借りた」つもりが…
Aさんは、無計画に奨学金を利用したわけでも、必要以上の金額を受け取ったわけでもない。研究室配属というごく普通の大学生活の変化に対応するため、必要な範囲で制度を利用したケースといえる。それでも、本人は「想定していたより負担を感じる」と話す。
では、一体なぜこうしたギャップが生まれるのだろうか。