日本の高齢化社会において、配偶者との離別や死別は避けて通れない課題です。長年連れ添ったパートナーを失った後、残された側が直面するのは経済的な不安だけでなく、社会との接点を失うことによる精神的な孤立です。特に男性の場合、現役時代の人間関係が職場に限定されていたケースが多く、退職と死別が重なることで急激に「孤独」が顕在化する傾向にあります。ある男性のケースを通して、現代社会における独居高齢者の孤立の実態と、孤立化を避けるための「再婚」という手段について考えていきます。
「老後は夫婦で」のはずだった…年金17万円・69歳男性が妻の死後に直面した「孤独死という恐怖」 (※写真はイメージです/PIXTA)

60代男性を襲う「社会的孤立」の背景と、「親の再婚」に対する子世代の複雑な本音

総務省『令和2年国勢調査』によると、夫と死別した妻は約792万人に対して、妻と死別した夫は約165万人。女性の死別者数は男性の約4.8倍にのぼり、また15歳以上の人口に占める死別者の割合(死別率)は、男性が3.3%であるのに対し、女性は14.1%。佐藤さんが「老後を1人で過ごすなんて想像してなかった」と語るのも、仕方がないことです。

 

このような状況下、男性の独居高齢者が特に深刻なのは、女性に比べて地域コミュニティへの参加率が低く、孤立しやすい点です。国立社会保障・人口問題研究所の調査等でも、単身男性は困った時に頼れる相手がいない割合が他層より高く、「社会的孤立」のリスクが浮き彫りになっています。

 

こうした孤独や健康不安への対策として「再婚」という選択肢も。しかし、Goens株式会社が50代・60代の独身の親を持つ20代〜40代の男女を対象に行った調査で、家族間で大きな課題があることが浮き彫りになりました。

 

再婚への賛否…親の再婚そのものに対して「反対」と答えた子どもはわずか2.7%

相続の壁…しかし、75.1%の子供が「相続や遺産分与の複雑化」を懸念している

望ましい関係…「事実婚・お茶飲み友達」を支持する声が55.7%に達し、「法律婚」を上回った

 

ここで注目すべきは、子ども世代のドライな反応です。調査によれば、親の再婚に反対する人は極少数ですが、その裏には「親の寂しさは埋めてほしいが、自分の相続分は一円も減らしたくない」という、究極の利己心と愛情の板挟みが見え隠れします。

 

孤独死を防ぐための繋がりは、必ずしも従来の結婚にこだわる必要はありません。家族と遺産の話を共有しつつ、自分自身の心の平穏を守るための新しいパートナーシップを模索することが、ひとつの選択肢といえるでしょう。

 

[参考資料]

Goens株式会社『50代・60代の親の再婚、「反対」はわずか2.7%。しかし75%が「相続」を懸念する、子供世代の複雑な本音』