日本の都市部を中心に、空を突くように建ち並ぶタワーマンション。その圧倒的な眺望と充実した共用施設は、まさに成功の証といえます。しかし、華やかな生活の裏側で、今、多くの居住者を震えさせている現実があります。それは、予想を遥かに超えるスピードで上昇し続ける「維持費」の存在です。
「住宅ローン完済」で天国のはずが……66歳元金融マン、東京湾岸タワマン暮らしの大誤算。維持費急騰の衝撃に「不安でたまりません」 (※写真はイメージです/PIXTA)

深刻化するマンション修繕積立金不足…選択迫られる居住者たち

現在、日本のマンション市場全体が「修繕積立金の不足」という深刻な課題に直面しています。

 

●計画に対して積立金が「不足している」と回答した管理組合は約35%。

●特に大規模物件や築年数が経過した物件ほど、計画と実態の乖離が大きくなる傾向がある。

出所:国土交通省『令和5年度マンション総合調査』

 

多くのマンションでは、分譲時の販売価格を抑えるために、初期の修繕積立金を低く設定する「段階増額積立方式」を採用しています。しかし、将来的な値上げを前提としたこの方式は、住民の反対などで計画通りに進まないケースが少なくありません。その結果、大規模修繕のタイミングで数億円単位の資金不足が露呈するのです。

 

さらに、追い打ちをかけるのがコストの高騰です。

 

●資材価格の上昇:世界的な物価高による建設資材の高騰

●2024年問題:建設業界の働き方改革に伴う人件費の上昇

 

これらにより、修繕費用そのものが跳ね上がっています。また、2024年4月から本格運用されている「マンション管理計画認定制度」も無視できません。管理体制が適切でない(積立金が著しく不足している等)と判断された物件は認定を受けられず、将来的な資産価値の下落を招くリスクもあります。

 

これまで値上がりの一途を辿ってきた東京・ベイエリアのタワーマンション。しかし、維持費の高騰や制度の変化を受け、今後は「住み続けるか、それとも次を見据えるか」という厳しい選択が、すべての居住者に突きつけられています。