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元正社員・68歳女性が感じた、制度への猛烈な違和感
都内の中堅メーカーで、60歳定年まで働いていた佐藤玲子さん(68歳・仮名)。20代で結婚し、2人の子どもを育てながらも、当時はまだ珍しかった「産休・育休」をフル活用してキャリアを継続してきました。
「仕事も好きでしたし、でも家事も、子育ても完璧にしたかった。当時は時短勤務なんて言葉もありませんでしたから、毎日が戦いでした。それでも夫も協力的で、何とか定年まで勤め上げることができたんです」
しかし、佐藤さんの夫・太郎さんは3年前に他界。「これまで頑張って働いてきたんだから、老後は夫婦で楽しく暮らしていこう」と話していた矢先のこと、突然の不幸で茫然自失だったと言います。しばらく何もする気が起きない日々。何とか、太郎さんの死後の手続きをしなければと思い立ち、訪れた年金事務所で、担当者から告げられた説明に彼女は耳を疑ったと振り返ります。
「担当者の方は淡々と、『佐藤さんの場合は、ご自身の老齢厚生年金が優先的に支給されます。遺族厚生年金は、ご自身の年金額との差額分しか受け取れません』と言ったんです。難しくて、何を言っているのか分からなかったんですが、私が追加で受け取れる遺族年金は、たった2,000円だというんです」
現在のルールでは、65歳以上の受給者に遺族厚生年金が発生する場合、まず「自分自身の老齢厚生年金」が全額受給となり、遺族厚生年金の額がそれを上回る場合にのみ、その差額が加算される仕組みになっています。つまり、佐藤さんが受け取る「老齢厚生年金」の額が亡夫の遺族厚生年金の額に近ければ近いほど、自身が支払った保険料の“見返り”は、制度上、消滅したように見えてしまうのです。
「保険料を払った分だけ、年金が受け取れるわけではないとか、二重で年金はもらえないとか、理屈は理解しているつもりなんです。ただ、40年間必死に働いて保険料を納めてきた。それなのに遺族年金は受け取れないとなると、悔しい気持ちになります。理屈は分かるのですが……」