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統計が示す「中高年不遇」の構造
佐藤さんが感じている「若者との格差」は、最新の統計データによっても裏付けられています。
厚生労働省『令和7年賃金構造基本統計調査(速報)』によると、一般労働者の平均賃金は34万0,600円で、前年比3.1%増となりました。一見すると順調な賃金上昇に見えますが、年齢階級別に詳細を見ると、その景色は一変します。
一目瞭然なのは、20代から30代前半までの若年層が4%台という高い伸びを示している点です。特に20~24歳の大卒層は5.2%増と、全世代・全学歴の中で突出した伸びを記録しました。これは深刻な人手不足を背景に、企業が初任給の大幅な引き上げや、若手の定着を目的とした重点的な配分を行っていることを示唆しています。
【一般労働者の平均月収(学歴計)】
~19歳:20万8,300円(4.5%)
20~24歳:24万2,800円(4.4%)
25~29歳:27万9,400円(4.6%)
30~34歳:31万2,300円(4.3%)
35~39歳:34万0,600円(3.6%)
40~44歳:36万4,300円(3.7%)
45~49歳:37万7,900円(1.4%)
50~54歳:38万8,800円(2.2%)
55~59歳:39万6,200円(1.1%)
60~64歳:32万9,300円(3.7%)
*(かっこ)内は前年比
一方で、40代後半から50代にかけての伸び率は急激に鈍化しています。驚くべきことに、45~49歳の大卒層においては、前年比で0.2%のマイナスを記録しました。
勤続年数別で見ても、同様の傾向が確認できます。勤続「1~2年」の層が5.0%増、「3~4年」の層が4.9%増と高い伸びを示しているのに対し、勤続「30年以上」の層は2.4%増に留まっています。
このデータは、現在の日本企業が「長く勤めていれば自然に給料が上がる」という従来の年功序列型賃金から、完全に脱却しつつあることを示しています。
企業側は限られた人件費原資を、流動性の高い若手人材の確保に優先的に割り振る一方、異動の可能性が低いとされる中高年層の賃金を抑制することで、コストの最適化を図っているという構図が見えてきます。
「中高年だから高い給料を払う」という時代は終わりを告げ、今後はよりシビアな役割給や成果主義が、ベテラン層にも容赦なく適用されていくでしょう。佐藤さんのような世代にとっては、これまでのキャリアの延長線上にない、新たな付加価値をどう生み出していくかが、賃金維持の大きなカギになりそうです。