(※写真はイメージです/PIXTA)
世帯年収1,400万円でも生活水準は上げずに資産形成
「周りの同僚はタワーマンションを買ったり、高級外車に乗ったりしていますけど、私たち夫婦はそういうのにはあまり興味がないんですよね」
都内の築20年の分譲マンションで暮らす手堅豊さん(仮名・48歳)と妻ののどかさん(仮名・46歳)。二人はともに上場企業の中堅社員として働き、それぞれの年収は約700万円。世帯年収にして1,400万円を稼ぐパワーカップルです。彼らの資産形成はシンプルでした。世帯収入を最大化しつつ、生活水準は豊さんの年収700万円だけに合わせるというものです。のどかさんの収入の大半と、豊さんの余剰資金は、すべて資産運用に回してきました。
「結婚当初から、お互いの収入も支出も家計簿アプリで完全に共有しています。隠し事がないからこそ、無駄遣いもお互いに指摘し合えるんです」と、のどかさんは語ります。
ボーナスが出ても財布の紐が緩むことはなく、お互いに上場企業勤務であることを活かして従業員持株会で奨励金を得ながら自社株を買い増し、さらに成長見込みのある米国個別株にも積極的に投資してきました。NISA制度が始まってからはインデックスファンドの積み立ても併用し、複利の力も手伝い、40代後半にして世帯の金融資産は1億円を突破しました。
「夫婦で世界一周旅行へ」資産1億円は夢へのパスポート
客観的に見れば十分な富裕層ですが、二人の休日の過ごし方は至って質素です。高いお金を払ってテーマパークや高級レストランに行くことは、めったにありません。
お弁当を作って近所の大きな公園を散歩したり、スーパーで買ってきた旬の食材を使って二人でキッチンに立ち、料理を作ったりするのが最高の娯楽だといいます。
「お金を使わなくても、散歩しながら二人でおしゃべりしながら歩くだけで十分楽しいんです。それに、私たちには夫婦で叶えたい大きな目標があるので」
豊さんが語る目標とは、50代前半で二人そろって会社を早期退職し、数年かけて世界一周旅行に出るという夢です。週末は図書館で借りてきたガイドブックを広げ、次に訪れたい国の計画を立てるのが二人の趣味になっています。
「豪華客船に乗るような贅沢な旅ではなくて、バックパッカーのように現地の空気を味わいながらゆっくり回りたいんです。そのための資金だと思えば、日々の節約もまったく苦になりません」
何のために資産を築くのか。明確な共通の目標があるからこそ、手堅さん夫婦は世間の価値観に流されることなく、つつましくも心豊かな毎日を送ることができているのです。
「純金融資産1億円以上」の富裕層が増加中
株式会社野村総合研究所が2025年に発表した最新の推計(2023年時点のデータ)によると、純金融資産1億円以上を保有する「富裕層・超富裕層」の世帯数は約165.3万世帯にのぼり、2021年の前回推計から約11%増加しました。手堅さんご夫婦のように、共働きで世帯収入を高めつつ堅実に投資を続けることで、一般的な会社員であっても1億円の壁に到達するケースが着実に増えていることがわかります。
また、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」の二人以上世帯のデータを見ても、資産形成に成功している世帯は、預貯金と有価証券をバランスよく、あるいは有価証券を多めに保有して資産を育てる傾向が見て取れます。
高収入世帯であっても、現金として銀行口座に積み上げておくだけでなく、中長期的な成長を見込んで株式や投資信託などで保有し続けるスタイルが定着しています。
見栄や一時的な快楽のためにお金を消費するのではなく、夫婦での世界一周といった人生の大きな目標達成のために資産を運用し続ける。これこそが、現代の堅実なパワーカップルがたどり着いた新しいお金との付き合い方といえるでしょう。
[参考資料]
株式会社野村総合研究所「日本の富裕層・超富裕層の世帯数と純金融資産総額の推計(2025年)」
金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」