年末年始の帰省シーズン、義実家での集まりに重い足取りを感じる方は少なくありません。「良き妻」であろうと努めるあまり、心身ともに疲弊してしまう――そんな経験がある人も多いでしょう。なかには、「もう帰省しない」と決断した人も。ある女性のケースをみていきます。
いい嫁を演じるのは疲れました…結婚して15年、正月は親戚接待が恒例だった43歳妻。「もう正月は帰らない」と決めた「義母の衝撃のひと言」 (※写真はイメージです/PIXTA)

「公立中学なんて大丈夫?」親戚の心ない言葉

都内のメーカーで事務職として働く田中里美さん(43歳・仮名)は、同い年の夫・健一さん(43歳・仮名)、中学2年生の娘・結衣さん(14歳・仮名)の3人家族です。結婚して15年、里美さんにとって正月は「休息」ではなく「修行」の場でした。

 

「夫の実家は地方の旧家で、本家ということもあり、正月には親戚一同が集まるのが『絶対のルール』でした。私は毎年、大晦日から泊まり込みで、おせちの準備や宴会の準備に追われていました」

 

座る暇もなく働き、笑顔でお酒を運ぶ――そのような正月の風景を知人に話したとき、「今どき、そんな世界があるんだ」と驚かれたといいます。しかし、彼女の心を最もえぐったのは、肉体的な疲労ではなく、愛娘へのデリカシーのない言葉でした。

 

その年は、夫の弟家族も帰省していました。義弟の長男・翔太くん(14歳・仮名)は、結衣さんと同い年。県内でも有名な私立中学に通っていました。

 

「酒が入った義理の叔父たちが、子どもたちを比較し始めたんです。『翔太くんは優秀だなあ、さすが田中家の血筋だ』と持ち上げたあと、私の娘に向かって『結衣ちゃんは公立だっけ? 公立は荒れてるって聞くけど、勉強ついていけてるのか?』とニヤニヤしながら聞いてきたんです」

 

結衣さんは気まずそうに俯いていました。里美さんは腸が煮えくり返る思いでしたが、「いい嫁」を演じるために笑顔を貼り付け、「本人が部活を頑張りたいと言うので」とかわすのが精一杯でした。

 

(なぜ、私たちがこんな思いをしてまで、この集まりに参加しなければならないのだろう……)

 

台所で一人、大量の皿を洗いながら悔し涙をこらえた里美さん。しかし翌朝、義母から衝撃の言葉を告げられます。

 

「来年からはもう、正月は集まらなくていいと言うのです。お義母さんも70歳を過ぎて、これだけの人数をもてなすのは体力の限界だし、何よりも昨日みたいな親戚の無神経な言葉を聞くのもバカらしい、だから無理して集まるのは、もう終わりにしましょうと」

 

義母の言葉を聞いて、里美さん自身、「長男の嫁だから」「伝統だから」と思考停止していたことに気づいたといいます。

 

「お義母さんは、今の家族のあり方や、私自身の肉体的・精神的負担を理解してくれていた。私はずっと『長男の嫁だから』と我慢するのが当たり前だと思っていて……お義母さんから『帰省じまい』を切り出してくれて、本当に感謝しています」

 

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