(※写真はイメージです/PIXTA)
「物価高だから増額」派と「不景気だから維持」派
興味深いのは、お年玉の総額を昨年と比べてどうするか、という質問への回答です。
最も多かったのは「変わらない」で約6割。その理由として「あげる相手の人数に変化がない」「毎年定額に決めている」という声が挙がっていますが、なかには切実な本音も。
「不景気だから」
「増やす余裕がない」
40代・50代の現役世代からは、そんな悲鳴にも似た声が聞かれます。教育費や住宅ローンが重くのしかかる世代にとって、正月の一時的な出費といえども、数千円の増額は痛手です。一方で、約2割の人は「増える」と回答しています。その理由は「相手が成長したから」という自然な理由が大半ですが、見逃せないのが「物価高」への配慮です。
「物価が上がって、今までの金額では足りないと思うから」
「物価高なので1万円程度上げる」
このように、子どもたちの生活実感を気遣って、あえて増額に踏み切る大人もいます。子どものお菓子一つとっても値上がりしている今、「昔と同じ1,000円札」の価値が目減りしていることを、大人たちが敏感に感じ取っている証拠といえるでしょう。
キャッシュレス全盛でも「ポチ袋」が廃れないワケ
いまや日常の買い物はスマホひとつで完結する時代です。お年玉も「キャッシュレス送金」や「デジタルギフト」が主流になりそうなものですが、実態は真逆でした。
同調査によると、お年玉の渡し方として「現金をポチ袋に入れて手渡す」と回答した人が77.8%と圧倒的多数。「電子マネー」や「振込」は合わせても1割未満にとどまりました。
なぜ、これほどまでに現金にこだわるのでしょうか。そこには、単なる資金移動ではなく、「コミュニケーション」としての機能が求められている背景があります。新札を用意し、相手の年齢や好みに合ったポチ袋を選び、「今年もよろしく」「勉強頑張れよ」と声をかけて手渡す。この一連の儀式こそが、お正月の風物詩として重要視されているようです。
お年玉は、あげる側にとっては手痛い出費ですが、もらう側の子どもにとっては「自分でお金を管理する」最初の一歩となる重要な機会。調査では、お年玉をあげるのをやめるタイミングについて、「高校卒業まで」と考える人が最も多く、次いで「社会人になるまで」という結果でした。昨年よりも「社会人になるまで」と答える人が増えており、親離れ・子離れの時期が後ろ倒しになっている傾向も見受けられます。
[参考資料]
株式会社マルアイ『【2026年お年玉に関する実態調査】お年玉をあげる人4割、あげる予定の人数は平均3人、金額は1,000円台から4,000円台が主流』