年末年始、久しぶりの帰省で親戚の子どもたちに会うのを楽しみにしている人も多いでしょう。しかし、そこで頭を悩ませるのが「お年玉」の金額です。「物価も上がっているし、昔と同じ金額では恥をかくかも……」。そんな不安を抱く大人たちの葛藤と、最新の調査から見える「2026年お年玉のリアル」についてみていきます。
「3,000円じゃ少ない?」久しぶりの帰省、甥の“微妙な反応”に凍りついた52歳男性…「平均3人」にあげるお年玉、その相場と現実 (※写真はイメージです/PIXTA)

「物価高だから増額」派と「不景気だから維持」派

興味深いのは、お年玉の総額を昨年と比べてどうするか、という質問への回答です。

 

最も多かったのは「変わらない」で約6割。その理由として「あげる相手の人数に変化がない」「毎年定額に決めている」という声が挙がっていますが、なかには切実な本音も。

 

「不景気だから」

「増やす余裕がない」

 

40代・50代の現役世代からは、そんな悲鳴にも似た声が聞かれます。教育費や住宅ローンが重くのしかかる世代にとって、正月の一時的な出費といえども、数千円の増額は痛手です。一方で、約2割の人は「増える」と回答しています。その理由は「相手が成長したから」という自然な理由が大半ですが、見逃せないのが「物価高」への配慮です。

 

「物価が上がって、今までの金額では足りないと思うから」

「物価高なので1万円程度上げる」

 

このように、子どもたちの生活実感を気遣って、あえて増額に踏み切る大人もいます。子どものお菓子一つとっても値上がりしている今、「昔と同じ1,000円札」の価値が目減りしていることを、大人たちが敏感に感じ取っている証拠といえるでしょう。

キャッシュレス全盛でも「ポチ袋」が廃れないワケ

いまや日常の買い物はスマホひとつで完結する時代です。お年玉も「キャッシュレス送金」や「デジタルギフト」が主流になりそうなものですが、実態は真逆でした。

 

同調査によると、お年玉の渡し方として「現金をポチ袋に入れて手渡す」と回答した人が77.8%と圧倒的多数。「電子マネー」や「振込」は合わせても1割未満にとどまりました。

 

なぜ、これほどまでに現金にこだわるのでしょうか。そこには、単なる資金移動ではなく、「コミュニケーション」としての機能が求められている背景があります。新札を用意し、相手の年齢や好みに合ったポチ袋を選び、「今年もよろしく」「勉強頑張れよ」と声をかけて手渡す。この一連の儀式こそが、お正月の風物詩として重要視されているようです。

 

お年玉は、あげる側にとっては手痛い出費ですが、もらう側の子どもにとっては「自分でお金を管理する」最初の一歩となる重要な機会。調査では、お年玉をあげるのをやめるタイミングについて、「高校卒業まで」と考える人が最も多く、次いで「社会人になるまで」という結果でした。昨年よりも「社会人になるまで」と答える人が増えており、親離れ・子離れの時期が後ろ倒しになっている傾向も見受けられます。

 

[参考資料]

株式会社マルアイ『【2026年お年玉に関する実態調査】お年玉をあげる人4割、あげる予定の人数は平均3人、金額は1,000円台から4,000円台が主流』