都内の中古マンション市場で、異常な事態が起きています。価格高騰が止まらず、東京23区の平均価格はついに1億円を突破。「億ション」が一般化する一方で、深刻なのが「広さ」の縮小です。予算が価格上昇に追いつかず、購入者は生活空間を削ることを余儀なくされています。その縮小幅は、たった5年で「4畳分」にも及ぶといいます。なぜこれほどまでに狭くなっているのか。最新調査から、首都圏マンション市場の過酷な現実と、これから求められる住まい選びの視点を読み解きます。
5年で4畳分の部屋が消滅…都内マンション「平均1億円超え」でも“狭い家”しか買えない「異常事態」 (※写真はイメージです/PIXTA)

新築の影響と、「40m2台」への変化

中古マンション価格が高いのは、新築マンション価格が上がっているからです。都内では、新築の坪単価が1,000万円を超えることも珍しくなく、その影響で中古物件も高くなっています。新築に手が届かない人が中古に流れ込み、価格を押し上げているのです。

 

2025年の面積別掲載割合を見ると、70m2以上80m2未満の物件が一番多く、また40m2未満や40m2~50m2未満といったコンパクトマンションも増えてきました。

 

単に「狭くなった」と考えるだけでなく、未婚率の上昇や共働き世帯の増加で、広さをそれほど重視しない層が増えていることも関係あるでしょう。しかし、今回のデータを見ると、ライフスタイルの変化だけでなく、「広い家を買いたくても買えない」という経済的な理由が大きいと考えられます。

 

こうした状況を受け、国交省は新築住宅の住宅ローン控除対象となる専有面積を、2021年から特例措置として従来の50m2から40m2に緩和していましたが、2026年からは恒久措置とする方針を表明しています。この緩和は、単身者や小規模世帯が家を買う際の助けになります。新築だけでなく、中古住宅にも適用範囲が広がれば、もっと効果的でしょう。

 

中古市場でも40m2台の物件が減税対象になれば、60m2や70m2に手が届かない人が、40m2~50m2の物件を検討しやすくなります。これは、高騰する市場で「広さより利便性」を選ぶ人にとって、負担を減らすことにつながります。

 

今後、マンション価格が大きく下がることは考えにくいため、面積が小さくなる傾向は続くかもしれません。

 

これからは、60m2以下のファミリー向け物件が増えることで、リノベーションや家具業界も、狭い空間を工夫する提案が求められるでしょう。限られたスペースで、どう豊かな空間を作るかが重要になります。

 

資産価値についても注意が必要です。以前は、50m2以下の物件は住宅ローンが組みにくく、売却しにくいといわれていました。今はコンパクトな物件の価値が見直されつつありますが、管理費や修繕積立金が高いといった問題もあります。

 

マンション購入において、予算と最低限必要な広さとのバランスをどう取るか……難しい選択に迫られる時代になっています。

 

[参考資料]

株式会社LIFULL『首都圏「中古マンション専有面積」調査【LIFULL HOME'S】』