都内の中古マンション市場で、異常な事態が起きています。価格高騰が止まらず、東京23区の平均価格はついに1億円を突破。「億ション」が一般化する一方で、深刻なのが「広さ」の縮小です。予算が価格上昇に追いつかず、購入者は生活空間を削ることを余儀なくされています。その縮小幅は、たった5年で「4畳分」にも及ぶといいます。なぜこれほどまでに狭くなっているのか。最新調査から、首都圏マンション市場の過酷な現実と、これから求められる住まい選びの視点を読み解きます。
5年で4畳分の部屋が消滅…都内マンション「平均1億円超え」でも“狭い家”しか買えない「異常事態」 (※写真はイメージです/PIXTA)

都内の中古マンションが「億ション」化し、購入者の予算が追いつかない

株式会社LIFULL/LIFULL HOME'Sによると、2020年から2025年(1月~11月)の5年間で、掲載されている物件の平均面積は68.39m2から64.70m2へ、約3.69m2縮小。でも、問い合わせが多い物件は、66.86m2から60.32m2へと、6.54m2も縮小しているといいます。

 

6.54m2は畳で言うと約4畳分。たった5年で、一部屋分の広さが無くなった計算です。掲載物件より、問い合わせが多い物件のほうが縮小幅が大きいということは、物件価格の上昇以上に、購入者の予算が厳しいってことを示しています。

 

この背景には、やはり物件価格の高騰があります。首都圏の中古マンション平均掲載価格は、この5年でなんと66.7%も上昇。金額にすると3,319万円も上がっています。特に今年は23.2%(1,565万円)もアップしていて、急上昇しています。

 

東京23区だけ見ると、ファミリー向け中古マンションの平均掲載価格は1億822万円で過去最高。「億ション」はもう特別なものではなく、普通の価格になりつつあります。

 

購入検討者が問い合わせた物件の平均価格は、6,214万円。前年比6.7%(392万円)のアップです。掲載価格は23.2%増加に対し、予算の増加幅は6.7%。広さを妥協せざるを得ない状況になっているのです。

 

予算が決まっている以上、価格が上がれば何かを諦めないと…。駅からの距離や築年数も大事ですが、生活に直結する広さを削り、何とか予算内に収めようとしている人が多いようです。