(※写真はイメージです/PIXTA)
「よかれと思って」が招く老後破綻の罠
誰もが多かれ少なかれ、将来に対して不安に思うものですが、真面目な性格の人ほど、その不安を1人で抱えがちです。誰にも相談できずにハイリスクな投資に手を出してしまうことがあります。そしてFXでやりがちなのが「損切りできない」という失敗です。
アドバイザーナビ株式会社が行った『50代の資産運用実態に関する調査』によると、50代の88.2%が「現在、資産運用を行っていますか」の問いに対して「はい」と回答しています。 また資産運用を始めたきっかけは、「年金や貯蓄への不安」が圧倒的に多く69.4%。「投資商品を選ぶ際に最も重視する点」としては「安定性」(53.3%)や「収益性」(37.8%)が多数を占めています。
そんな50代の投資の失敗として最も多く挙がったのが「いつか価格は戻るはずと期待して保有し続けた結果、さらに損失が拡大した」で、39.2%でした。また「よく理解していない商品(FXや仕組みが複雑な投資信託、デリバティブなど)に手を出してしまった」も23.5%と、4~5人に1人が経験している失敗です。
また近年の物価高や「老後資金不足」への煽りを受け、FXや暗号資産(仮想通貨)など、値動きの激しい商品に手を出して失敗するシニア層の相談が、国民生活センターなどにも寄せられています。
「退職金で一発逆転」はあり得ません。また、今回の事例のように、配偶者が「家計のため」という大義名分のもと、独断でリスクを取り、結果としてリカバリー不能な損失(借金)を抱えてしまうパターンは、家庭内でのコミュニケーション不足が根底にあるといえるでしょう。
資産形成は「増やすこと」に目が向きがちですが、定年直前に最も重要なのは「守ること」。退職金という大きな現金を前にする今こそ、夫婦で「通帳の開示」を行い、隠れたリスクがないかを点検すべきときなのかもしれません。
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