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2026年「値上げ」は続く? FP200人の回答
2026年の日本経済と家計について、専門家はどう見ているのでしょうか。ソニー損害保険がFPに行った調査によると、2026年の世帯収入は半数以上のFPが「増える」と予測しています。内訳は「大幅に増える」が8.5%、「少し増える」が49.0%で、合計すると57.5%です。背景には、基本給アップや最低賃金の引き上げ、株高による資産増などがあるようです。
しかし、収入増の予測とは反対に、家計の実感としては厳しい見方が多く、「家計状況は良くならない」と考えるFPは7割以上(73.5%)に達しました。「変わらない」が35.0%、「少し悪くなる」が33.0%、「かなり悪くなる」という回答も5.5%ありました。
この「収入は増えるのに生活は楽にならない」状況の主な原因は、収入以上に物価が上がるインフレです。賃上げがあっても、生活費の増加で打ち消されたり、実際に使えるお金が減ったりすると専門家は分析しています。つまり、給料が増えても生活が楽にならない状況が、この調査でハッキリしたと言えるでしょう。
2022年ごろから続く値上げは、2026年も終わりそうにありません。FPの86.0%が「2026年も値上げ傾向は続く」と答えており、インフレが長引くと考えられています。
特に値上げが心配されているのは、食卓に欠かせないものです。「パン・シリアル」(81.0%)を筆頭に、「外食サービス」(80.5%)、「お菓子・スイーツ」(80.0%)と続きます。材料費だけでなく、物流費や人件費の値上がりが価格に反映される流れは、まだ続きそうです。「日用品」も8割のFPが値上げを予想しており、生活必需品の値段が上がるのは避けられないでしょう。
一方で、値下げが期待されるものもあります。特に「ガソリン」は、半数以上(55.5%)のFPが値下げを予想しています。これは市場の動きというより、政策の影響が大きいでしょう。2025年末にガソリン税の暫定税率がなくなる予定で、長年の負担だった燃料費が少し楽になるかもしれません。また、高騰していた「お米」や「卵」も、需給の関係で値段が落ち着く可能性もあります。ただし、これらは一部の動きであり、家計全体のインフレを止めるほどではないというのが全体的な見方です。
食費と社会保険料が家計を圧迫
2026年に家計の負担になるのは何でしょうか。調査では、FPの75.0%が「食費」と答えており、影響の大きさが際立っています。食費にお金がかかり、日々の買い物で「高い」と感じることが、消費者の気持ちを冷え込ませそうです。
しかし、食費だけではありません。2位は「水道光熱費」(39.5%)、3位は「社会保険料」(34.5%)。特に社会保険料や税金の負担が増えると、給与明細の「手取り」が減り、家計にじわじわと影響してきます。国民年金保険料の引き上げなどが予定されており、税金や保険料の負担増で自由に使えるお金が減っていくと考えられます。
「最も影響が大きい費目」をひとつだけ選んでもらうと、やはり「食費」(53.0%)が一番多く、次に「住居費(住宅ローン・家賃など)」(11.0%)が来ています。金利が上がると、変動金利の住宅ローン返済額が増える可能性もあり、住居費の負担も注意が必要です。