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過去最多の倒産件数。介護業界で進む「淘汰」と「再編」の波
老人ホームにおいて、入居中に運営会社が変わるケースは決して珍しいことではありません。背景にあるのは、介護業界を取り巻く厳しい経営環境です。
東京商工リサーチによると、2024年の介護事業者(老人福祉・介護事業)の倒産は、過去最多の172件と、前年比40.9%増を記録。訪問介護が過去最多の81件、デイサービスは56件、有料老人ホームは過去最多の18件だったといいます。
倒産や事業譲渡が増加している主な要因は、「物価高」と「人手不足」です。食材費や光熱費が高騰する一方で、介護報酬は公定価格であるため、コスト増を価格に転嫁しにくい構造があります。さらに、深刻な人手不足により採用コストも嵩んでおり、体力のない小規模事業者は経営が立ち行かなくなっています。
その結果、進んでいるのがM&A(合併・買収)による業界再編です。資金力のある大手チェーンが、経営難に陥った小規模施設や、後継者不足の施設を次々と買収しています。
利用者にとって、買収により施設の存続が守られる点はメリットといえます。しかし、買収する側(大手)は、利益を出すために効率化を最優先します。田中さんのケースのように、食材の大量一括購入やセントラルキッチン化、人員配置の見直しによる人件費削減が行われるのは、経営合理化の定石です。
アットホームな小規模施設が大手チェーンの傘下に入った途端、画一的なサービスに置き換わってしまう現象は、こうした業界構造の変化が深く関係しています。老人ホーム選びの際は、運営会社の経営体力や、将来的な事業承継の可能性まで視野に入れることが、リスク回避の重要な視点となりつつあります。
[参考資料]
東京商工リサーチ『2024年「老人福祉・介護事業」の倒産調査』