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議事録の「紛争」を見逃すな
マンションを買う人は、間取りや駅からの距離など、分かりやすい条件に目が行きがちですが、管理組合の中身まで気にする人は少ないかもしれません。 しかし、調査では「マンションを買う人が見落としがちな危険なサイン」として一番多かったのが「管理組合の議事録に紛争の記載がある」(34.0%)でした。
管理組合の議事録は、マンションの「履歴書」であり「カルテ」のようなものです。 そこには、過去に起きた水漏れ、騒音トラブル、ペットを巡る住人同士のケンカ、管理費の滞納など、表には出てこない生々しい情報が記録されています。 「紛争」と書いてあるということは、解決が難しいトラブルがいつも起きている可能性があり、新しいオーナーがそのトラブルを引き継ぐことになるかもしれません。
同じく2位で「建物診断を拒否したり、曖昧にしたりする売主の態度」(32.0%)や「管理費の滞納が増えている」(32.0%)ことも危険なサインとして挙げられています。 特に、管理費や修繕積立金の滞納が多い物件は、将来、必要な修繕ができなくなるリスクがあります。 滞納者が多いということは、住民のモラルが低かったり、経済的に困っていたりする人が多い可能性があり、資産価値を考えるとマイナスです。
長く持つコツは「修繕計画」と「お金」
不動産投資は、短期間で売って利益を出すこともありますが、多くの場合は、家賃収入や資産づくりが目的です。 10年以上長く持つことを考えると、プロは何を重視するのでしょうか? 調査では「大規模修繕計画の内容と、資金計画がしっかりしているか」を重視する人が52.0%で、圧倒的に多い結果となりました。
長く資産価値を維持するためには、適切な時期にきちんと修繕することが大切です。 そのためには、長期修繕計画が、現実的な工事費用に基づいて作られているか、そして、その計画を実行するための修繕積立金が十分にあるかを確認する必要があります。
実際に、プロがマンションを買う人に「これは必ず確認してほしい」と伝えることとして、「管理費・修繕積立金の滞納状況」(47.0%)、「大規模修繕の履歴と今後の計画」(46.0%)、「修繕積立金の残高と、今後の値上げ予定」(41.0%)が上位を占めました。 これらはすべて、マンションが長く使えるかどうかに繋がる要素です。
不動産市場には、今でも都合の悪い情報を隠して売り抜けようとする人がいます。 だからこそ、買う側も言われたことを鵜呑みにするだけでなく、自分でリスクに気づき、必要な情報を求めることが重要。 「重要事項説明書にあいまいなことしか書いていない」「過去3年で管理会社が何度も変わっている」といった小さな違和感を見逃さないことが、失敗しないマンション選びの第一歩です。
[参考資料]
・アセットテクノロジー株式会社『データで暴く「買ってはいけない不動産」調査』