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夫が不在の期間に起きていた、妻の隠された変化
都内の大手メーカーに勤める大野隆夫さん(52歳・仮名)は、5年前に九州への単身赴任を命じられました。現在の年収は850万円ほどだといいます。子どもは昨年、遠方の国立大学に進学し、東京の自宅には妻・美佐子さん(50歳・仮名)がひとりで暮らしています。
「単身赴任も5年目になり、あちら(九州)での生活もずいぶんと慣れてきました。妻のほうは子どもが出て行ってしまって、寂しいみたいですね。でも『自分の時間が増えて快適』と言っていたので、ひとり暮らしも楽しんでいるんだなと安心していました」
それは、3ヵ月ぶりに自宅に帰ったときのことだったといいます。その日は色々と重なり、偶発的に5連休になったことで急きょ東京の自宅に帰ることを思いついたのだとか。ちょっとしたサプライズで、美佐子さんには帰ることは内緒にしていました。
「玄関に入ってすぐに、家の雰囲気が違うと感じました。いつも綺麗に整頓されていた玄関に、大手宅配業者の不在票が束になって貼られていたんです。いつもは几帳面な妻ですから、これはおかしい、と」
調べてみると、美佐子さんは家計から高額な買い物を繰り返しているようでした。洋服、アクセサリー、ブランドバッグ……。美佐子さんのクローゼットには、タグがついたままの新品がぎっしりと詰まっていたのです。
「妻は決して浪費家ではありません。どちらかといえば、ブランド品にも興味のないタイプで……。妻には私が知らない一面があるのだと考えて、混乱しました」
帰宅した美佐子さんに尋ねると、一度ははぐらかそうとしましたが、「だって寂しくて……」と泣き出したといいます。
「ひとり暮らしの孤独感に加えて、体調がすぐれないことが続いたといいます。子どもの進学と重なって、喪失感も大きかったのかもしれません」
美佐子さんは、更年期特有の体調不良や気分の落ち込みに悩まされていたようでした。
「単身赴任の私に気を遣って、体調不良を訴えてこなかったのでしょう。子供の独立による空虚感を埋めようと、買い物で一時的な高揚感を得ていたのだと思います」
美佐子さんの散財は、半年間で約300万円に上っていたといいます。