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「高止まり」する正社員不足、倒産件数は過去最多を更新
株式会社帝国データバンクが2025年10月、全国2万5,111社(有効回答1万427社)を対象に実施した調査によると、正社員が「不足」していると感じる企業の割合は51.6**%に達しました。10月としては4年連続で半数を超えており、前年同月(51.7%**)からはわずか0.1ポイントの低下にとどまり、依然として高水準で推移している実態が明らかになりました。
一方で、非正社員における人手不足割合は28.3**%**となり、前年同月から1.2ポイント低下しました。こちらは10月としては2年連続で3割を下回っており、正社員とは対照的に改善傾向がみられます。
深刻化する業種別ギャップ、建設・ITで人材獲得難。 正社員の人手不足を業種別にみると、その深刻さには濃淡があります。最も高い割合となったのは「建設業」で、70.2**%**(前年同月比+0.6pt)に達しました。調査(リリース文)では、「人手不足の影響により案件があっても受注できない」(土木工事、奈良県)といった、機会損失に直結する切実な声が上がっています。
次いで「情報サービス業」が67.7**%**(同-2.5pt)で続きました。AI活用やDX化の進展に伴い、調査(リリース文)からは「必要とされるITエンジニアのスキルへの期待値が高くなっている。以前より案件とITエンジニアのマッチングが難しくなっている」(ソフト受託開発、東京都)という、需要とスキルのミスマッチに悩む状況がうかがえます。
このほか、ドライバー不足が続く「運輸・倉庫」(67.1**%**)など、全51業種中8業種で6割を超える企業が正社員不足を訴える結果となりました。
DXが非正社員不足を緩和か、「飲食店」は大幅改善。 非正社員の人手不足が改善傾向にある背景には、何があるのでしょうか。業種別で最も不足感が強かったのは、インバウンド需要などの影響を受ける「旅館・ホテル」(59.0**%**)でしたが、正社員とは異なり、全51業種で6割を下回りました。
特に注目されるのは「飲食店」(53.4**%**)です。不足割合は依然5割を超えているものの、前年同月からは10.9ポイント、2年前からは28.6ポイントと大幅に低下しています。この点について、調査では、DXやスポットワークの普及による生産性向上が背景にあるとみられる、と分析しています。
続く「人手不足倒産」、地方の若手流出が課題。 正社員の不足感が解消されないなか、企業経営への影響も表面化しています。調査(リリース文)によると、「人手不足倒産」は2025年1~10月の累計で359件に達し、すでに2024年通年の342件を上回り、3年連続で過去最多を更新しました。
調査では、「若い人材は大手企業への就職が多く、求人を出しても応募者がいない」(舗装工事、岩手県)といった地方からの若手人材の流出や、ハイスキル人材の不足が、正社員不足を高止まりさせる要因と予想されています。
[参考資料]
厚生労働省が公表している『一般職業紹介状況(職業安定業務統計)』
株式会社帝国データバンク『人手不足に対する企業の動向調査(2025年10月)』https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001190.000043465.html