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月10万円の年金では…78歳男性が直面する「薬代」の重圧
「毎月の年金は、手取りで10万円ちょっと。そこから家賃と光熱費、食費を引くと、ほとんど残りません」
都内で一人暮らしをしている、鈴木一郎さん(78歳・仮名)。現役時代、一時はフリーランスとして頑張っていたときもあったとか。しかしうまくいかず、50歳を超えてから再び会社員になり、70歳近くまで働いたといいます。フリーランス時代に苦しい思いをしたこともあり、老後を見据えて、十分な貯蓄を準備できたとは言い難いとか。またフリーランス時代が長かったため、年金受取額も平均を大きく下回る額になってしまったと嘆いています。
いま、鈴木さんを長年悩ませているのが、高血圧と糖尿病の持病。毎月の通院と、数種類の薬の服用が欠かせません。
「若いころの不摂生がたたったんでしょうね。今は、病院と薬局に行くのが一番の仕事みたいなものです」
後期高齢者医療制度により、鈴木さんの医療費の自己負担は1割です。しかし、積み重なればその負担は決して軽くありません。
最近は物価もあがり、食費を切り詰めるので精一杯だといいます。
「もう切り詰められるところは切り詰めないとと思って、医者に『きちんと飲みなさい』と指導されている薬の回数を、1回抜いたりして。そして1回だけじゃ、大した節約にならないから、2回、3回と増えていって……本当はいけないことだと分かっているんです。体に悪いことも。でも、払えないものは払えないんです」
医師からは、血糖値をコントロールするためにも、血圧を安定させるためにも、薬を欠かさないよう厳しく言われています。薬を抜いた日は、体調が悪化するのではないかという不安に苛まれるとか。
「まさに老後の医療費地獄だ」と鈴木さん。病気と隣り合わせの高齢期において、経済的な余裕のなさが、適切な医療を拒む結果になっています。
「私のような年寄りは、これからどうやって生きていけばいいんでしょうかね」